ロイヤルがチキンの専門チェーンを仕掛ける意図 アメリカ発祥の「バターミルクフライドチキン」

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バターミルクとは、バターづくりで出る副産物。バターミルクチキンは、バターミルクに浸けてやわらかくしたチキンだという。バターミルクは名称自体はこってりした印象があるが、実は逆で、生乳から脂肪分を取り去った、高たんぱく低脂質の食品。アメリカでは調理によく使われるのだそうだ。これに肉を漬け込むと、バターミルクに含まれる乳酸菌の働きでたんぱく質が分解され、肉がやわらかくなり、さらに旨味も増すという。

アメリカ研修でそのバターミルクフライドチキンに注目した石川氏は「いつか商品化してみたい」と、アイデアを温めていたそうだ。

そこへ、コロナによる大激震が起こった。

「当社は飲食店の他にも、ホテル、社食といった事業を展開していますが、いずれも、多くの人の移動で成り立つサービスです。てんやは比較的テイクアウトに強いと言っても、やはり揚げたてのおいしさが強みであり、ファストフードでも席数をしっかり備えているという特徴があります。そのため、事業全体が大きなダメージを受けました。そして社会を見ると、食のスタイルもガラリと変わり、外食、中食、内食の垣根がなくなりました。当社も中食や内食に参入する必要があると、新業態立ち上げを検討し始めたときに、『バターミルクフライドチキンがあるじゃないか』と思い至ったわけです」(石川氏)

実はバターミルクフライドチキンそのものは、一度、サステナブルをテーマにしたカフェ業態「ロイヤルガーデンカフェ」にてメニュー化したことがあり、レシピは完成していたそうだ。アメリカで食べた味を思い出しながら、ほぼオリジナルでつくりあげたものだという。

こだわったのは「クラフト感」

では、ラッキーロッキーチキンのバターミルクフライドチキンはどのような商品なのだろうか。同チェーンでは、バターミルクにヨーグルトとスパイスを加えたバターミルク液を採用。ヨーグルトにより、乳酸菌の働きがアップするという。そこに国産鶏むね肉を一晩漬け込み、12種類のオリジナルスパイスミックス&ハーブを使用した衣をつけてフライヤーで揚げる。独特のスパイシーさと、ときどき「カリッ」と歯ごたえのある、ザクザク系の食感が特徴だ。敢えてツノが立つように衣をつけることで、食感に変化を出しているそう。

そしてラッキーロッキーチキンでは、このバターミルクフライドチキンを看板商品に、バーガーやサラダなど多彩なメニューをそろえた。これにより、テイクアウトだけでなくランチなど、時間帯に応じたさまざまなニーズに対応する。

商品の味やメニュー展開においてこだわったのが「クラフト」(手作り感)だそうだ。

スパイシーで「カリッザクザク」という食感が特徴のバターミルクフライドチキンを、ビネグレットキャベツサラダとともにサンドしたバターミルクフライドチキンバーガー(500円)。これまでになかった、大人味のチキンバーガーだ(筆者撮影)

例えばバターミルクフライドチキンバーガーは、チキン自体がスパイシーに仕上げてあるのに加え、共にサンドした野菜にもパクチーやイタリアンパセリを加えたもの。バーガーではマヨネーズを使うことが多いが、同社の場合、レッドオニオンのマリネとビネグレットドレッシングで和えたキャベツサラダを挟み、サッパリした味わいに仕上げた。いわば大人のチキンバーガーだ。

また、チキンと並ぶ看板メニューとして用意したのがクラフトコーラだ。料理のメニューにスパイスやハーブを使っているのに合わせ、柑橘系果汁やジンジャーなどのフレッシュさ、スパイス感がしっかり感じられるドリンクとした。

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