2017年には中国でも風力発電が原発を上回る--アースポリシー研究所所長 レスター・ブラウン

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--テキサスでは石油派と風力派とで軋轢が起こらないのですか。

そういうことはまったくない。というのは、テキサスは石油で過去100年間生きてきたわけだが、その石油がもう長くは続かないというのは周知の事実だから、新しい風力発電に関心が移っている。テキサスで風力発電による電気を売ることは、エネルギービジネスという意味では今までと何ら違いはない。

ウォールストリートは風力発電が大好き

--米国では風力発電機が畑の中にも立っているようですが。

トウモロコシ畑だ。発電機は畑全体の1%しか占有しない。残り99%の土地は今までどおり、農地や放牧に利用可能だ。発電機を1本立てることで、30万ドルの電力収入が得られるようになる。この1%の土地所有に対する借地料5000~1万ドルは農家に入る。農家にとっては、トウモロコシを売るだけではなく、風を売ることで実質二毛作といえる。

--こういった形で風力発電に投資しているのは電力会社ですか。

電力会社と投資会社だ。ウォールストリートは風力発電が大好きなんだ。過去2年で191基の新しい風力発電所ができたのは、ウォールストリートの投資のおかげ。テキサスにいる石油関係者にとっても、それが石油だろうが別のエネルギーだろうが、投資には違いがない。

--いっそ農家が土地を活用して電力事業に乗り出せばいいのでは。

たとえばアイオワ州の1エーカーの広さでトウモロコシを作っても800ドル。同じ土地で風力発電なら30万ドルの収入になる。だけど、それは電力会社がとり、農家には借地料の1万ドル程度しか入らない。ここだけを考えると、質問のような疑問が出てくるが、そう考える農家はいない。なぜなら農家は、新ビジネスでリスクをとりたくないからだ。特に、1基につき1億~2億円する風力発電機に投資するキャピタルを、農家の人たちに融通することは非常に難しい。ましてや穀物価格も変動する中で、借地料として安定収入が見込めるほうがむしろいい、との判断からだ。

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