妖怪ウォッチも焼け石に水?マックの窮状 8月の既存店は前年比25%のマイナス

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7月29日に開かれた第2四半期(2014年1~6月期)の決算発表会。中国の仕入れ先で使用期限切れ鶏肉を使用していた問題が明らかになってからの既存店売上高について、今村朗執行役員は「計画に対し、15~20%落ちている」と述べていた。が、結果的に8月はそれを超える下げ幅を記録してしまった。

7月20日に問題が発覚した後、一部店舗ではタイ産などの代替品が底を尽き、主力商品の1つであるチキンマックナゲットが一時販売停止に追い込まれた。同月23日には供給が正常化、25日には中国製チキン商品の販売を全面的に中止するなど、7月末までにあらゆる対策を講じたが、一度失った信頼の影響は計り知れないものだった。

販促策も効果は薄く

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キャンペーンを告知する日本マクドナルドのWebサイト

8月は定番商品である「ビッグマック」「えびフィレオ」のバリューセット(ともに通常価格627円~699円)を全国一律で500円に値下げするキャンペーンを展開。さらに、炭酸ドリンクを全サイズ100円にするなどの販促策を打ったものの、チキンショックを払拭するには遠く及ばなかった。

客単価のマイナスも痛かった。「8月の客数が減少する中で、インパクトが大きかったのはファミリー層が減ってしまったこと」(日本マクドナルド広報)。問題となったナゲットは、子供からの人気が高いコアメニューの1つ。注文点数の多い家族客の来店機会が減ったことが、客単価や売上高に影響した。

9月5日からは妖怪ウォッチや「アイカツ!」といった子供に人気の高いコンテンツとのコラボレーションを始めた。ゲームセンターなどにあるアーケードゲームで使用可能なカードを特典としたハッピーセットが大きな来店動機になっている。

店舗によっては家族客を中心に長い行列ができるなど話題性もあるが、あくまで妖怪ウォッチ効果によるところが大きい。限定キャンペーンは一時的には売り上げの拡大につながるが、“カンフル剤”の効果には限りがある。また、効果が大きければ大きいほど、その反動減も大きくなる。

そもそも、チキン問題が発覚する以前の昨年5月から、客数は16カ月連続で前年同月を下回っている。妖怪ウォッチ効果で9月単月の客数が回復したとしても、それをもって一安心とはいかないのが、マクドナルドの置かれた現状だ。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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