再上場すかいらーく、"マック化"回避が焦点 ファンド流再生の真価はいかに

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主力業態「ガスト」の顧客満足度をいかにして高めるか(撮影:吉野純治)

ただ、すかいらーくにとって、再上場がゴールではない。むしろ再上場後のほうが、さらなる成長を求める投資家の厳しい目にさらされる。

財団法人・日本生産性本部傘下の団体が今年実施した調査によれば、ガストはマクドナルドと顧客満足度で最下位争いをしている。

09年には、デニーズやロイヤルホストといった競合のファミレスを上回っていたが、ジリジリ順位を落としている。調査にかかわっている小川孔輔・法政大学教授は「会社が喧伝するほど(外部ノウハウ導入によって)顧客満足度は改善されていない」と指摘する。

成長の芽をどう育てるか

マクドナルドは店舗合理化などによって業績を急激に伸ばした。が、早急な原田改革に現場は混乱を来し、12年度以降、業績は下降線をたどっている。「ファンドや外部から登用した人材では、十分に経営理念を共有できない。成長の芽がなくなれば、現場は疲弊し、やがて衰退する」(小川教授)。

すかいらーくが再上場とともに発表した中期経営計画では、既存店売上高を年1%以上増やすほか、新規出店などで2.5~3%の売上高成長を目標に掲げる。マクドナルドと同様、既存店の再成長に軸足を置くが、公表された中期計画には、今後の成長を引っ張っていくような強力なアイデアは見当たらない。

再上場が決まった翌29日、谷社長は社員を集め、「われわれは再上場を経て、新しい成長ステージに立った。今こそ、創業当時の経営理念である、お客様視点に立ち返ろう」と檄を飛ばした。外食業界は恒常的な市場縮小に加えて、コンビニや類似業態との競争も激しい。マクドナルドの蹉跌に学び、次の成長戦略を描けるか。新生すかいらーくの真価が問われる。

「週刊東洋経済」9月13日号<9月8日発売>掲載の「核心リポート02」を転載)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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