“電話恐怖症”男を正社員にしたワケ 「短所」を直す暇があったら「長所」を磨け!

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また、話を聞く立場で考えた際に、実は核心を突いた話をつねに求めているわけではありませんし、特に社内での打ち合わせなどは、ブレーンストーミングをして拡散系の議論をしたい場合もありますので、発言のすべてが完璧である必要はありません。

もっと言えば、発言のすべてが完璧な人なんてのは、世の中に存在しません。相手は完璧を求めていないのに、自分は完璧であろうとし、過度に緊張してしまうのは、単なる勘違いとも言えますね。完璧でなくて構わないのですから、言いたいことをどんどんしゃべるのも手ですよね。

肝心なのは、「どんどんしゃべるべき状況」と「本質的なことを少ししゃべるべき状況」を判断することですが、最初は難しく考えずに、自分が心地よいと感じる方法で、しゃべることに慣れてください。あくまでも「心地よさ」が重要です。

前述の電話恐怖症の彼は、私が外からかける電話以外は無視してよい(それ以外の電話は私を含めた周りがフォロー)、ということにして、そのほかの仕事に注力させました。その一方で、私との会話「のみ」を通じて電話での会話そのものに慣れさせ、1年ほどかけて何とか克服してもらいました。

短所ばかり意識するな

また、「しゃべり下手だと昇進や転職にも響くか」ですが、必ずしもそうではないでしょう。もちろん、しゃべりがうまければ損はしないと思いますが、仮に下手であったとしても資料で補う、うまい人間とチームを組むなど、いくらでも補完方法はあります。

実際、出世している人が全員しゃべり上手かというと、必ずしもそうではないというのが私の実感です。しゃべり下手でも真剣さと一生懸命さを伝えられれば、面接でも問題ないと思います。ただし、その場合は、しゃべり下手を補うだけのほかのスキルが優れていることが前提となるので、やはり自分の強みをまずは磨き上げることを優先すべきです。

まじめな性格な人ほど、自分の短所を過大に意識しすぎる傾向があります。一方で、勘違いも含めて自分に自信がある人は、輝いているように見えるものですよね。

ただ、人間誰しも長所短所を持っている中で、自分の短所を過剰に意識するよりも、長所を大切にすることに注力したほうが、少なくとも楽しい人生を送れると言えます。そして、しゃべり下手を含めた短所の克服のカギを握るのも、長所です。

『非学歴エリート』に書きましたが、多くの場合、仕事においては長所で判断されるケースが大半です。学校の勉強と違い、人生で「オール5」を目指す必要はありません。Aさんが持っているすばらしい長所を発見し、磨き続けることで、徐々に短所を克服し、最終的にはバランスのとれたすばらしい人生を送れることを心より応援しています。

※安井さんへのキャリア相談は、こちらまでお送りください。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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