保守のヒント 中島岳志著

保守のヒント 中島岳志著

保守は右派とも右翼とも同一たりえない。だが世間は同義語と考え、区別なくレッテルを貼りたがる。昨今の保守政治家と言われる人々の多くが言葉の真の意味での保守ではないことも、本書によれば明々白々である。保守とは、単純な二分法を疑い、世論の熱狂も疑う。そして大きな政府、小さな政府ともに忌避し、バランス感覚を重視する。

熱狂の果てに来る小泉政権時のような独断と断言のカリスマ政治再現への危惧が提示されるが、昨今の首相たちの支持率が乱高下する現象はまさにその危険性を物語るものだ。こうした主張に続く宮台真司氏との対談では「保守と右翼」が廣松渉や竹内好論とともに縦横に論じられる。今ほど真の保守が求められる時代はないはずなのに、そうした良質の部分はますます薄れる感が強い。事あるごとに「抜本的改革」を言い、何事も二者択一で判断するメディアや政治、そしてひたすら気分化する世間に向けての警世の書。(純)

春風社 1890円

  

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