「アイスバケツチャレンジ」を批判するな 景気と株価の足を引っ張る、残念な人たちの正体

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中野 今、米国では株価が堅調に推移していて、それはQE(量的緩和)の影響で期待感が高まり、ここまで来ているということからすると、日本のクロダノミクスは、ひょっとすると米国のようにうまくいかない恐れがあります。

何しろテコでも動かない人がたくさんいるのですから。そういう人たちが「あ、俺たちも動かないとまずいかも」って思って、お尻に火が点いてくれないと、なかなかマクロ景気は好転しないのかも知れません。

本格的なインフレが来ないと、世の中は変わらない?

藤野 デフレ病という慢性病が染みついているから、ちょっとやそっとの薬では効かなくなっているのは事実です。

渋澤 米国人って、何かきっかけがあれば一斉に皆が動き出すんですよ。でも、日本人は失望最小化戦略で斜に構え、動こうとしている人を冷淡な目で見ているだけの人が大勢いる。「すぐ動くなんて単純な奴ら」と批判もする。でも、こうした行動の違いが大きい。う~ん、この状態が大きく変わるためには、何が必要なんだろう。

中野 この状況を脱するためには、とにかく世の中全体がインフレにならないとダメなのかも知れませんね。一部では良いインフレか悪いインフレかという議論もありますが、とにかくインフレにする。テコでも動かない人というのは、そこで地獄を見ることになりますから。まあ、その時になってからでは手遅れなのですが、仕方がありません。

藤野 「失望最小化社会は格好悪い」と思ってもらいたいですね。失望を最小化した生活をしているのってイケてない。そう思う人が増えれば、徐々にマクロ経済も良くなっていくんじゃないでしょうか。

渋澤 デフレって氷水なんですよ。インフレは火なんだけど、氷水はじっと我慢すればやり過ごせるけど、火はやけどしちゃうから動かなきゃならない。中野さんが言うように、本格的なインフレになって初めて、テコでも動かない人が動いて、ようやく世の中が変わっていくのかも知れません。

草食投資隊 渋澤 健、中野晴啓、藤野英人

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そうしょくとうしたい

コモンズ投信会長・渋澤 健、セゾン投信社長・中野晴啓、レオス・キャピタルワークス社長CIOの藤野英人の3氏で結成。根底には、「長期投資を根づかせたい」という3人の熱い思いがある。「草食投資隊」という名前は、投資=肉食系というイメージが一見つきまとうが、本質は違うのではないか、という3人の共通の考えによる。

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