ワークマンの加盟店は「夫婦で経営が条件」のなぜ フランチャイズに求める、稼ぐ力より重要なこと

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以前は会社にとって大切だったのはブランド価値だったが、現在はレピュテーション(評判)になっているのではないかと思う。ステークホルダー(企業の利害関係者)のあいだでどのような認知をされているのか? その評価、評判が、100年の競争優位を築いていくうえでも大きな意味をもってくる。

もちろん、評価を気にして加盟店ファーストの姿勢をとっているわけではない。受け継がれている姿勢が結果的にレピュテーションを高めることにもなっているのだ。

ブームの影響もあり、現在はフランチャイズの問い合わせはかなり増えている。その意味でいえば狭き門になっている面もある。ただし、応募フォームに寄せられる問い合わせや履歴書の段階でお断りせざるをえない人が多いのも事実といえる。

要件に合っていない応募者も少なくない

加盟に必要な要件としては、主だったところで次の項目を挙げている。

・法人名義での契約はできず、契約は1店舗に限られる
・ご夫婦での参加が基本(3親等以内の親族でも可能な場合がある)
・50歳未満(本人、パートナーともに)
・健康状態が良好
・通勤30分圏内の方(高速道路を使わず)

これらの要件に合っていない応募者も少なくないのが現実だ。「自分でも会社を経営しているので、事業の一環としてワークマンをやりたい」と言ってくる人などもいる。

基本の要件に反しているので、最初からお断りしている。

また、いきなりに近い感じで「人材が足りないんだろうから俺がやってやる」などという言い方をしてくる人もいる。こうした話し方しかできない人に店舗をお願いすることはありえない。

履歴書などに問題がなければ担当者が面談して、考え方などを聞かせてもらう。この部分には十分な時間をかけて審査している。

稼ぐ能力が高いかどうかよりも重要なことがある。SVや本部と良好な関係で続けられ、お客様に対しても親切であること。求めているのは“ワークマンが好きで、本気でやりたい“と考えてくれている人たちだ。

ワークマンでは、店長にはできるだけ“店の顔”になってもらうように要請している。そのように望んでいるのは、チェーン店としてはワークマンならではのことかもしれない。お客様からなんでも気軽に質問してもらえるような心の交流を大切にしてほしいと考えているからだ。

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