まだまだ、あこぎな業者がいる葬儀業界、遺族が落ち着く時間を作りたい--日本初・遺体用ホテルを開業したニチリョク・寺村久義社長に聞く

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 直葬はね、もう病院から冷蔵庫(預かり施設)に直行、焼いて終わりなんです。遺族が故人のお顔をみる機会も、火葬場の遺体預かり場に行かなければ会えない。

当社の場合は同じ預かり施設であっても、きれいなホテルなんです。その差ですよ。しかも1泊2日の場合24時間、2泊3日の場合は48時間、いつでも何回でも面会ができる。そういう施設はほかにはありません。

それはそうでしょう。葬儀会社にとって直葬は商売にならないから、ご遺体だけ預かることはしません。下手するといっぱいだと言って断るのではないですか。ビジネスにならないから。

だからラステルは、焼いて終わりの葬送を、なんとか家族で懇ろなお見送りができるような施設にしました。もちろん部屋に花を飾ったり、祭壇を作ったりすればおカネがかかりますが、それらをなしにして、霊安室でお坊さんを呼んでお経を唱えてもらって、出棺することもできる訳です。

ただ、それが当たり前になってくると、葬儀単価はますます安くなってくるのでしょう。結果として直葬が消費者に支持されているということは、ビジネス的にいい悪いは別として、世の中の流れがそういう方向に向かっているということだと思っています。

私は業界のためになることは、何ひとつしていません。お墓でもなんでも、業界から袋だたきにされるようなことばかりしてきました。でもね、消費者に喜ばれることをやっているという自負はあるんですよ。消費者にいくらこれを買って下さいとお願いしても、モノが悪ければ買わないでしょ。
(聞き手:筑紫 祐二 撮影:今 祥雄 =東洋経済オンライン)

※1 堂内陵墓:お墓の形状に類似した納骨堂の一様式。従来のロッカー式や仏壇式、合同墓などの納骨堂とは一線を画す。お参りの際には、IDカードをカード読み取り機に入れると、墓の形をした陵墓に、収納厨子に納められた骨壺が自動で搬送されてくる。収納厨子が墓石の形を取っているため、昔ながらの感覚でお参りができるうえ、寺院内建物にあるため天候などを気にする必要もない。

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