資産3億の個人投資家「トヨタは成長株」と思う訳 決算短信を分析すれば見えてくる企業の実力

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■POINT② 営業キャッシュフロー

営業CFは、本業の営業活動で入ってくる現金で、プラスが大きいほど高評価になります。また、損益計算書(PL)で利益が出ているのに営業CFが小さな場合は、PL上の利益の内訳を確認する必要があります。

例えば、貸し倒れのための引当金や法人税負担でお金が入ってこず、最終利益は黒字なのに営業CFはマイナスというケースもよく見かけます。

逆に健全に急成長を遂げている企業の場合、営業CFが決算期間中に数倍に増えているケースもあります。販売している商品やサービスが大ヒットしている状態です。スマホ向けゲーム会社など小資本かつ高成長企業に多く見られるパターンです。

こうしたIT系企業の場合、製品やサービスの売上原価が低いため、売上高に占める営業CFの比率を示した「営業キャッシュフロー(CF)マージン」が50%超と非常に高い場合も見受けられます。

この「営業CFマージン」は、PLから計算される「売上高営業利益率」よりも、よりリアルな稼ぐ力を表していると言えます。

成長株投資にきわめて重要な「投資CF」

■POINT③ 投資キャッシュフロー

投資CFは企業が積極的に新規投資を行って、企業規模を大きくしたり、さらなる成長を目指していたりするかどうかの目安ですので、成長株投資ではマイナスが大きいほどよい指標です。

逆に投資CFがプラスになるのは異常(資産売却している)ですので、資金繰りに問題がないか確認が必要です。成長株投資では、投資CFがプラスの企業は投資対象外になります。

投資CFは、成長株投資にとってきわめて重要な項目で、今後の成長に向けしっかり投資できているか(できれば5年程度さかのぼって)確認するようにします。投資CFが大きく伸びた場合、その投資がうまく行けば、それ以降の期で成長率が加速する可能性が高くなるので、翌期以降の営業CFで回収できているかに注目します。

投資CFがマイナスなのに、営業CFが増えないのは問題なので、貸借代照表(BS)やPLで確認します。

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