英語は「覚えるまで音読する」

日本の教育を変えるキーマン 千田潤一(1)

 こんにちは、安河内哲也です。英語教育の専門家にお話を伺う本連載。今回、インタビューさせていただいた、英語トレーニング法指導者の千田潤一先生の回をもって終了することになりました(掲載は4回続きます)。千田先生は長きにわたってTOEICの普及に尽力されてきました。しかし、せっかくスピーキングとライティング試験があるにもかかわらず、リスニングとリーディング技能を測定する部分だけが偏重され、990点満点を何回も獲得することが究極の目標のようになっている現状には疑問を呈しています。これからの日本の英語教育は、どこを目指せばいいのか? そしてTOEICとはどう付き合っていくのがベストなのか? 千田先生の英語との出合いや驚きの学習法なども伺いましたので、最後まで読んでくださいね!
千田潤一先生との対談スタート!

フィリピンで戦争捕虜となった父が英語の原点

安河内千田先生が英語の達人ということは広く知られていますが、英語に興味を持たれたそもそものきっかけは?

千田きっかけは父親です。父は戦争捕虜としてフィリピンで捕まり、捕虜収容所に入りました。捕まった日本人の捕虜は全員殺されると思っていたらしい。ところが収容所で行われたのは、殺し合いをしていた敵国兵士同士によるbaseball game、野球の試合だったのです。父はそのことに感動していました。「野球の試合は日本が勝ったんだぞ!」とも言っていました。

父は捕虜収容所内で、通訳をした経験があると言っていました。それで私に「おい潤一、外国語ができるのはすばらしいことだぞ。『芸は身を助く』というのはホントだ。絶対に外国語を習え。まずは英語をやってみろ」と。そんな話を、私が小学校の高学年頃に聞かされ、ずっとどこかに残っていて、学びの根っこになりましたね。だから、「中学に入ったら、英語はやっぱり勉強しよう」と思っていました。

安河内今は「幼稚園、小学校で英語を教えなきゃならない!」などと、世の中が大騒ぎになっていますけど、千田先生は、お父様から重要性は説かれたものの、中学に入るまでは、英語にまったく触れなかったということですか?

千田ええ、ゼロの状態でした。

Kissはアメリカの漬け物!?

安河内じゃあ、This is a pen.を初めて知ったのは?

千田潤一(ちだ・じゅんいち)
アイ・シー・シー代表取締役、英語トレーニング法指導者
1948年、岩手県生まれ。福島大学経済学部卒。タイムライフ、 AIU保険会社など実業界で英語を使った実務を経験した後、TOIECを普及促進する国際コミュニケーションズを経て現職。英語トレーニング法指導者の第一人者として、企業や学校などで講演を数多く実施。講演回数は4800回以上、受講者数は19万を超える。シリーズ累計50万部以上の『英会話・ぜったい・音読』(講談社)など著書多数。英語学習のモットーは、The Key to success is starting and not stopping.(成功のカギは始めることとやめないことだ)。

千田中1のときです。ただね、英語の環境はある意味ありました。私は青森県の八戸にいたんですが、近くには三沢の米軍基地があった。その基地から米兵が家の近くを通ってよく海水浴に行っていました。

車中で英字新聞を読んだり、女性と口づけしたりする姿などをよく目にしましたね。

安河内おー、白昼堂々、車内でブチューですか? 千田少年にとっては刺激も大きかったのでは?

千田ええ、そりゃもう。父に「口づけって何だ?」って聞いたら「それはアメリカの漬け物だ」って言われましたけれども……。

安河内おっと、お得意のダジャレ、早速ありがとうございます(笑)。

千田ときどき挟み込んでいきますから、期待してください(笑)。

冗談はさておき、米兵や八戸の港に入ってくる船から降り立った外国人船員を見たり、読み古した英字新聞を見かけたりと、今思えば外国人との接点はごく身近にある環境だったと思いますね。当時は彼らとの生活レベルもまったく違っていましたから、印象に残っています。

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