党再生を担うリーダーに必要な「歴史の知恵」

党再生を担うリーダーに必要な「歴史の知恵」

塩田潮

 もともと民主党政権は、今回の参院選までは「仮免政権」だった。参院選は10カ月の路上運転を見て本免許付与の是非を国民が判断する試験だったが、不可の審判を下した。

 「政治とカネ」の鳩山由紀夫、小沢一郎両氏の運転者失格、鳩山氏の未熟運転、「仮免」の自覚を欠いた菅直人首相の「増税暴走」も大きな理由だが、「看板に偽りあり」と認定されたのが不合格の最大の原因だろう。

 看板は「脱官僚」「政治主導」「無駄の排除」「生活第一」なのに、実際は「官僚依存」「無力の政治主導」「無駄排除よりも増税」という走行だった。

 民主党の当選者数44という今回の数字は、1998年参院選の自民党の獲得議席とぴったり同じだ。自民党は非改選と合わせて103(今回の民主党は106)で、過半数の127を24も下回った。衆議院では過半数を握っていたから、現在の民主党政権は、その後に登場した小渕恵三政権とほぼ同じ厳しい条件に追い込まれたことになる。

 初めて衆参ねじれとなった小渕政権は国会での「野党案丸呑み」を決意する。金融再生関連法案を丸呑みで成立させた。民主党代表は現在の菅首相で、「自民党は自滅する」と上機嫌で語ったが、小渕首相は1年余の間に、自由党との連立、さらに自自公連立を粘り強くつくり上げ、参議院の過半数割れを脱する。以後、小渕政権は絶好調となった。

 野党が長く、政権担当が浅い民主党は、未来を語り、将来の姿ばかりに目が向いていた感があり、「歴史に学ぶ」という姿勢が乏しい。16年前の細川護煕政権の教訓も生かしているとはいえない。鳩山氏は普天間問題で細川政権のコメ開放の成功とは真逆の対応で沈没した。菅首相は消費税増税で国民福祉税騒動の轍を踏んだ。

 「新ねじれ」を背負う菅首相は小渕政権から危機脱出の要諦と処方箋を学び取ることができるかどうか。先人の成功例と失敗例を生かす。党再生を担うリーダーたちに必要なのは「歴史の知恵」の活用である。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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