日銀は「独立性」を勘違いするな、政府が金融政策の目標設定に介入するためにも日銀法改正を進めるべし

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 政府が日銀にインフレ目標を設定させるためには、ともかく第4条を書き換える必要がある。

具体的にはこれを、「日銀に政府との政策目標の共有をより強く求める方向で」書き換えればよいのだ。第3条第1項のほうは、これを日銀の「手段の独立性」について定めたものであると解釈すれば、現行法のままでも大丈夫となる。

政治が目標を設定するという考え方については、これまでも一部の専門家や新聞・テレビから「日銀の独立性が侵される」という批判の声が挙がっていた。しかし、この批判には大きな誤解がある。

一言で「独立性」といっても、「目標の独立性」と「手段の独立性」の2種類があり、尊重されるべきは後者の方である。5月に来日し日銀で講演を行ったFRB(連邦準備制度理事会)のベン・バーナンキ議長も、「目標の独立性はありえない」と言っている。

つまり、日銀は政府が設定した目標を達成するために、どのような手段を選択するかを考えればいいのだ。目標を達成できない場合、総裁は一定の責任を負う。

考えてみれば、現状の日銀法においては自分で目標を設定して、自分で「できませんでした」と言うことが許されているのだ。なんと無責任な仕組みか。

現行の日銀はとにかく欠陥だらけで、世界標準から大幅にズレている。イギリスは中央銀行であるイングランド銀行の独立性が担保された国として知られているが、インフレ目標の設定権限は財務相にある。

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