年金は収入の低い人ほど「手厚く」もらえるワケ 基礎年金には「老後の備え」以外の役割もある

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わが国は国民皆年金制度で20歳以上のすべての人は何らかの年金制度に加入していますが、全員が加入しているのが国民年金です。サラリーマンの場合は厚生年金という制度に入っていますが、その中に国民年金に相当する部分が基礎年金としてありますので、基本はすべての人が加入しています。

実はこの基礎年金の存在が、年金支給額の格差を是正し、所得再分配の機能を果たしているのです。ここでちょっと下の図をご覧ください。

手取り給与18万円弱でも、年金は17万円余もらえる

この図は、手取り給与が35万7000円のAさんと17万9000円のBさんが負担する毎月の年金保険料と将来受け取る毎月の年金額の比較を表しています。また、35万7000円という手取りは税・社会保険料控除後の金額ですから、額面にすると43万9000円となり、これは厚生労働省がモデル年金額を算出するときの賃金という前提です。AさんとBさんの給料が2倍違うのは比較しやすくするためです。いずれも夫婦2人で、どちらかは働いていないという前提です。

さて、年金保険料の負担額は給料に比例しますから、Aさんが払う保険料4万円に対して、給料が半分のBさんは2万円となります。ところが年金給付額を見てみると、Aさんの年金給付額は22万円であるのに対してBさんの場合は17万5000円です。Bさんの払った保険料はAさんの半分なのに、支給される年金額はAさんの8割ぐらいとなります。

これはいったいどういうことなのでしょうか。その答えは「基礎年金部分」にあります。

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