プロより稼ぐ人も?ゴルフ「アマ資格」改訂の衝撃 来年から賞金を受け取ることが可能になる

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――今回の改訂の注目点は

これまでのアマ規定は古い規則で、現代のさまざまなことに対応できていなかった。これをやってはいけないということを明確にしてシンプルになった規則は一般ゴルファー、アマにすんなり入っていくのではないでしょうか。

――この改訂で、プロのトーナメントに参加しているアマも賞金をもらえるようになる。

いわゆるオープン競技では、これまでアマは「アマである」として参加していたので賞金は受け取れませんでした。日本では上限額を10万円に設定する予定ですので、10万円以下なら受け取れます。

――これまでツアーではアマが優勝しても、優勝賞金は繰り下がり、プロが2位だった場合はそのプロが受け取っていました。最近では中島啓太選手(日本体育大学)が男子ツアーのパナソニックオープンに優勝しましたが、賞金はプロに繰り下がっています。2000万円のうち10万円だけ受け取るという形になるのでしょうか。

賞金配分は競技規定にかかわることです。現在ツアーが行われているので、来年のツアーからどうするかを今後決めることになるのでしょう。

――1000万円のうち10万円を受け取って990万円は繰り下げるとか。

どうなるか、今はわからないです。990万円をチャリティーにするとか。ただ、賞金を得るというのはプロの領域ですので、プロのメリットを最優先にするにはどうすればいいかということです。

――広告出演や、競技出場にかかる費用、スポンサーシップなどの制限がなくなりますが、どんな影響が出ると予想しますか。

企業との契約ができるということですので、テレビCMに出ても、スポンサーになってもらっても、金額の制限がなくなります。旅費や生活費などの支援を受けることも可能になります。「アマで5億円契約」とか、出てくるかもしれません。

エリートゴルファーにとっては、外部から資金を集めやすくなった。これは、金銭的な問題を抱えている選手にチャレンジの機会を広げるという意味ではいい改訂だと思います。

スポンサーからの金銭的な支援が無制限に

アマは練習にしても、大会参加にしても多くの費用がかかる。実際、交通費を抑えるために長距離の車移動をしたり、格安のチケットやホテルを使ったりする。

エリートアマと呼ばれるトップ選手は大会出場の機会も多くなり、また多く出ないとトップレベルを維持できないこともある。これまでは競技費用で3万円まで第三者から受け取れたが、旅費などは自己負担だった。来年からは、スポンサーを見つければ金銭的な支援を無制限に受けられる。

これまでも、ゴルフ用具をモニターとして提供する、あるいはアマ規定ギリギリの枠内でプロになったときに契約をしたいメーカーなどの支援を受ける「青田買い」が常態化していた。

市村氏は「行きすぎたスポンサーシップが選手をつぶすこともあるでしょう。特定の選手にお金が集中することも考えられます。受ける側はタダほど高いものはないという気持ちを持たないといけないでしょう」と言う。

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