生き残るために「お客様第一主義」を取る

秋山耿太郎・朝日新聞社社長に聞く

あきやま・こうたろう 1945年生まれ。68年朝日新聞社入社。政治部長、東京本社制作局長、取締役東京本社編集局長、常務取締役販売担当などを経て2005年6月より現職。
激変する環境の大きなうねりの中で、新聞という情報メディアはどう変貌を遂げていくのか。デジタル時代に向け、異業種との提携や新規事業など矢継ぎ早に手を打つ、朝日新聞社の狙いとは。

デジタル、不動産、教育新たな収益柱を育成

――新聞業界は、今、大きな曲がり角に来ています。

たいへんな苦境に見舞われている。日本では諸外国と比べ、戸別配達網のしっかりしている点が救いだが、苦しくなっていることは間違いない。朝日新聞も創業以来、ずっと新聞一筋で収益を上げてきたが、そうした状況が今後も続くとは思えない。市場縮小の中、部数が増えることはなく、維持か停滞、微減という状況が続くだろう。

――朝日も前期は赤字でした。

はい。リーマンショック後、長い真っ暗なトンネルの中で出口が見つからない状況だった。しかし、ここに来てようやく薄明かりが見えてきたようにも思える。右肩下がりだった広告収入の落ち込みが、底を打つ気配を見せている。ここを足掛かりとして、今期は何とか営業黒字に浮上して、新規事業にも積極的に投資していきたい。

――新しい収益柱として位置づけているのは。

デジタル関連事業に加え、不動産事業、教育関連事業にも注力し、新聞を中核とした総合的なメディア企業という形での生き残りの道を模索している。

不動産事業では、大阪・中之島の再開発プロジェクトを進めている。1棟目となる「中之島フェスティバルタワー」は今年1月に着工、2012年秋には完成する。18年ごろには2棟目のタワーも完成する予定だが、2棟目着工の最終判断は、大阪の地域経済の状況なども総合的に判断して、もう少し先に下したい。

今年3月に、受験生の親や先生たちを対象にマーケティング調査したところ、「子どもの教育や受験に最も役立つ新聞」として、朝日新聞が高い評価をいただいた。教育事業にはこれからも力を注いでいかなければならないと考えている。

具体的には、ベネッセコーポレーションと、昨年12月、「語彙・読解力検定」を共同で始めることで合意した。高校生、大学生を中心に、たとえば「天声人語」などを用いて読解力をつけるための検定試験で、来春開始の見通しだ。

また小学生を対象とした、地球環境や防災などをテーマにした時事問題教材の「今解き教室」を、学習塾向けに販売している。教育の分野は新聞とかなり親和性があると感じている。

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