ところが、それでも楽観視できない。それは、コロナワクチンは接種から時間が経てば、その効果が低減するからだ。このあたり、ワクチン接種を済ませば、ほぼ一生にわたって効果が続く麻疹ワクチンとは違い、有効期間が5カ月と言われているインフルエンザワクチンに近い。アメリカのファイザーは、デルタ株の場合、2回接種から4カ月目には感染予防効果は53%まで低下すると報告していし、アメリカ・モデルナも、ワクチン接種後約5カ月で、感染予防効果が36%低下したと報告している。
すでに日本からも同様の調査結果が報告されている。10月13日、福島県相馬市は、コロナワクチン接種を終えた相馬市民500人から採血し、中和活性を測定した結果を発表した。この研究では、中和活性は、2回目接種から30日未満で2024 AU/mL、30~90日で753 AU/mL、90日以上で106 AU/mLと急速に低下していた。10月22日には、同じく福島県南相馬市からも同様の調査結果が報告された。一連の研究をリードしたのは、坪倉正治・福島県立医科大学教授を中心とした研究チームだ。
イスラエルで今夏大流行が起こったワケ
ワクチンの効果が切れた段階で、コロナが流行すればどうなるのか?
参考になるのはイスラエルの経験だ。イスラエルは、世界で最も早くワクチン接種を進めた国だ。1月30日には国民の20%、2月16日には30%、5月2日には40%、そして5月17日には50%がワクチン接種を済ませている。
日本同様、イスラエルでも6月下旬からデルタ株による感染者が増加した。夏の流行のピークは9月14日で、新規感染者数は1254人(人口100万人あたり)で、同国の冬のピーク(981.2人)を大きく上回った。日本の今夏のピークの6.8倍に当たる。今夏、イスラエルの感染者数は、G7諸国よりはるかに多かったが(図2)、これはワクチンの効果が切れた時期に、デルタ波の流行が重なったためだろう。ワクチンの感染予防効果は、接種からの時間とともに減衰することを、認識しなければならない。
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