「メルカリ」、米国進出で一気に勝負へ 激闘C2C市場最前線を追う<1>

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C2C特集第2弾で紹介するフリルに関して山田氏は「フォロー/フォロワー機能があり、よりユーザーがスティッキー(中毒的)に使われる可能性がある」と指摘しつつも、あくまでメルカリではマーケット(市場)という場を提供したい。ソーシャルな世界ではマーケットという街を提供したい。という考えのようだ。

すでに事業計画数値は上振れしており、2015年中には1000万ダウンロード突破を狙う。

ヤフオクも10%成長、C2Cは成長市場

C2C市場はリセール市場とも言い換えられるが、この市場は成長市場といえる。消費税増税の背景もあり、中古品の売買に注目が集まっている。ヤフオクでも取扱高が伸びている。2013年6月期から2014年6月期では取扱高は1787億円⇒1953億円と約10%の伸びを示した。

インターネットだけではなくブックオフやコメ兵といったリアル店舗での売り上げも伸びているようだ(厳密にはブックオフは書籍中心の店舗は対前年比で下がってきているが、ブックオフバザールなどの幅広いジャンルを扱うリユース事業は対前年比で伸びてきている)。リセールの既存店舗は郊外でかなり増えてきているようだ。

成長市場であるC2C市場は2012年ごろからスタートアップの新規サービスが多く勃興していた。メルカリは最後発ともいえるが、現在残っている成長性の高いC2C特化型のサービスはメルカリとフリルの2社と言っても過言ではない。何が勝敗を分けたのだろうか。

山田進太郎(やまだ・しんたろう)●早稲田大学在学中に、楽天株式会社にて「楽オク」の立上げなどを経験。卒業後、ウノウ設立。「映画生活」「フォト蔵」「まちつく!」などのインターネット・サービスを立上げる。2010年、ウノウをZyngaに売却。2012年退社後、世界一周を経て、2013年2月、株式会社メルカリ(旧コウゾウ)を創業

「プロダクトの質ではないかと思います。質の高いスマホアプリを作るのは意外に難易度が高い。アプリ開発はiOS、Android、サーバーサイドの3人は必要で、当初からいい開発チームを作れた点が成功要因のひとつかと思います。リリース後は地道に改善し続けました。チュートリアルやユーザーガイドを磨いて、利便性を高めることを心掛けました。広告もユーザー獲得単価が読みやすく、要所で投下し、うまくユーザーの密度を上げていきました」

C2C市場は寡占市場になるか共存市場になるか。その答えはまだ見つかっていないと山田氏は語る。

「コマースの世界では楽天があってZOZOTOWNもあるという場合があり、寡占か共存かはまだ見えません。他社のことは考えておらず、自分たちの数字をいかに上げるか。継続率やアクティブ率を高めるかを必死に考えています。メルカリはオールジャンルで極力多くの品数を扱うマーケットでありたいですね」

単純な話だが、出品数が多ければ多いほどユーザーが買える商品の選択肢は増える。山田氏はメルカリを全国区の市場であるととらえ、ユーザーが地域のリアル店舗に買い取りで出品すると、在庫リスクから買い取り価格を買いたたかれることに対して、買い手が多いことで在庫リスクを軽減できれば、より高い価格で売れる。そもそも中間に事業者が入っていないので、売り手はより高く、買い手はより安く買えるという構造ではある。

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