日本型ワーキングプアの本質 大沢真知子著

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日本型ワーキングプアの本質 大沢真知子著

豊富なデータと取材が多くの示唆を与えてくれる。

たとえば、非正規労働者は世帯主に扶養されているという前提のさまざまな社会制度が、非正規労働者の賃金を押し下げる現実。

子どもの貧困は母子世帯に注目が集まりがちだが、子どもの大多数が育てられている両親がそろった未就学児童のいる世帯の貧困率が上昇している事実。

その一方で、「ダグラス=有沢の法則」に反して、高所得層では、夫の所得の影響を上回る妻の経済的な貢献の重要性が見て取れるようになっていること。

これらの事実は、共働き世帯が標準世帯になっている日本において、ライフとワークの両立する環境を整え、能力や意欲に合わせて労働市場に参加でき、かつ公正な均等処遇の実現を進めることが、問題の解決の「基本」であることを示す。

21世紀の新しい時代に即した中流社会を形成するにはどうすべきか。「基本」の政策実現で中間層を増やすことができると説く。

岩波書店 2520円

  

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