産業リサーチ(映画・出版) 大手3社体制続く映画、出版は淘汰が進行中

映画業界大手と言えば通常、東宝、松竹、東映の3社を指す。配給を手掛けるだけでなく、全国規模で興行網を展開しており、シネコンにも注力している。
 最大手の東宝は高水準の純益を維持。好立地に不動産物件を有し、安定的にぶ厚い賃貸収益を計上できるのが強みだ。他社からは「映画会社ではなく不動産会社」とうらやむ声も聞かれる。2番手の松竹は最近、勢いに乗っている。リストラ効果に加え、「ハリポタ」「ロード・オブ・ザ・リング」など洋画の配給・興行の貢献で、収益改善が顕著だ。これに対して、東映は邦画の不振で苦戦を強いられている。不採算のホテル事業を抱えているのも大きな足かせとなっている。
 その他の企業は配給会社と興行会社に分かれる。ギャガなどの新興組は劇場配給だけでなく、テレビ放映権やビデオ化権販売など、買い付け作品の二次利用に積極的に取り組んでいる。
 一方、出版界は1996年をピークに2002年まで6年連続のマイナス成長を記録、出版不況の出口が見えない状況に苦しんでいる。2002年も柴田書店や社会思想社などの版元(出版社)や、取り次ぎ(流通卸)業者が倒産し、書店の閉鎖も相次いだ。全国の書店数は1990年の1万2500店から、2002年には8200店まで減少(日本書店商業組合連合会加盟店)。特に2001~2002年と地方の小型店で撤退が加速している。さらに景気低下に伴い広告収入も急落、広告を収益源とするマス雑誌も、採算を悪化させている。
 出版不況の原因としては、【1】活字離れ、特に若者が携帯やゲームなどに時間とおカネをかけている。【2】図書館、新古書店やマンガ喫茶の拡大で新刊本を買わなくて済む。【3】不効率な流通制度で末端書店まで売れ筋が届かず、売り損じが多い、といった点が一般に挙げられている。
 だが、実際には再販制度によって末端まで販売価格が維持され、当たるとドーンと儲かる出版界のどんぶり体質が、流通の効率化などを阻害している面も少なくない。実際、一方で幻冬舎や草思社、扶桑社などが勝ち組として台頭しているが、いずれも売れ筋のつかみ方、話題づくり、独自の販売戦略といったマーケティングのうまさで差をつけている。

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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