ユーロ各国にはギリシャ支援以外に選択余地ない--フランス駐日大使 フィリップ・フォール

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--マーストリヒト条約には加盟国間の債務引き継ぎを禁じた「非救済条項」がありますが、最終的には例外規定を適用しました。

それだけ急を要し、何かをしなければならない状況に追い込まれていたのです。こうした事態が起きるのを事前には想定していなかったかもしれませんが、やらなくてはならなかった。EUという組織の動きは鈍く、制約も課されており、決断を下すのに時間がかかるといわれていますが、緊急時には速やかに対処できることを証明しました。これはとても勇気づけられることです。

--しかし、ドイツ、フランス両国の対応の違いを見ると、かつての「独仏枢軸」関係が崩壊したときのようにも思えます。

両国がつねに同じ意見というわけではないと思いますが、ほかに選択肢はなかったのです。サルコジ大統領も「(支援は)義務であり、選択の余地はない」と言っています。

ベルリンとパリの関係が欧州の中心軸と言うと、言いすぎかもしれませんが、現実にはそうです。むろん、同じ利害、気質、ビジョンを共有しているわけではないが、最終的には合意しました。お互いに譲歩しなければならなかったのです。

--マーケットは各国の支援を「対症療法」と受け止め、ユーロの不安定な状態が続いています。

ユーロ安を怖がる必要はありません。輸出には追い風です。エアバスのトップはかねて「ユーロは高すぎる」と不満を口にしていました。「1ユーロ=1・5~1・6ドルといった水準では販売が難しい」とも……。

ユーロはここ数年、過大評価されていました。それがようやく落ち着きつつある。ユーロが弱くなれば、海外から欧州への投資も膨らむでしょう。観光客も増える。その結果、緊縮財政で赤字が減るというシナリオは十分、考えられます。

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