自販機や通販も…「駅弁」生き残りへあの手この手 お取り寄せ、冷凍弁当、新たな手法が続々登場

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通常のお取り寄せ駅弁は、到着したその日中の賞味期限のものがほとんど。それを見事にクリアしたのが、「冷凍駅弁」だ。北海道・長万部「かなやのかにめし」で有名な「かにめし本舗かなや」は冷凍駅弁の第一人者と言えるだろう。

かなやの担当者から話を聞いた。「かにめしを家で食べたいとの遠方からのお客様の声が多く届き、1年間ほど冷凍や真空パックの技術を研究し、2009年から通信販売を始めました。現在もすべて自社工場で製造しています」。

私も実際に冷凍かにめしを食べたことがあるが、レンジで手軽に温めるだけで、あのホワホワのカニとシャキシャキのたけのこの食感がよみがえり、現地で食べる駅弁に勝るとも劣らないおいしさである。

「冷凍かにめしの需要は2009年には年間1万6000食でしたが、ここ4年でずいぶん伸びて、今年は現時点で6万2000食、年間で7万食に到達する勢いです」。

冷凍駅弁へのニーズが増え、他の駅弁業者も続々と取り組み始めている。今ある駅弁をただ冷凍すればよい、というものではなく、冷凍として販売するにはさまざまな試行錯誤があることを知っておきたい。

「シウマイ弁当」の大進化

冷凍駅弁といえば「シウマイ弁当」でおなじみ「崎陽軒」もすごい。「おうちで駅弁シリーズ」と称して、昨年から自社の「チャーハン弁当」「ピラフ弁当」などの冷凍駅弁の通信販売を始めた。これらもいつも食べている味そのまま、むしろできたてが味わえるありがたみを感じる。

つい先日は「おうちでジャンボシウマイmini」という冷凍商品を取り寄せた。ジャンボシウマイとは結婚式などでケーキの代わりに大きなシウマイをカットするという変わり種で、切ると中から「昔ながらのシウマイ」がたくさん出てくる、見た目にも楽しいシウマイだ。

そのジャンボシウマイの小型版として、この商品を今年7月に発売開始したところ大人気。私も発売初日にサイトにアクセスしたが、サーバーが落ちていた。ようやく買い求め、先日1人で食したが、1人ではなかなか胃に余った。そういえば、いつか結婚式を挙げることができたらジャンボシウマイカットをしようと思い描いていたのに、うっかり1人で実現させてしまった。

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