伊藤忠商事の中国食料戦略、日本企業を大陸へつなぐ

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アサヒの「うれしい誤算」 頂新にも果実もたらす

代表例がアサヒビールとの飲料事業だ。伊藤忠の仲介で、頂新グループの中核会社・康師傳とアサヒは04年、茶系飲料とミネラルウォーターの合弁飲料会社・康師傳飲品を設立。経営主体は康師傳側で、アサヒは技術者を常駐させ、品質・生産改善などの指導に当たっている。

中国飲料市場の成長下、合弁の康師傳飲品は積極果敢な投資で飲料生産工場やミネラルウォーターの充?工場を次々と新設し、毎年5割増のペースで生産能力を増強。飲料事業の売上高は急速な右肩上がりを描き、05年度の約830億円から、わずか4年後の09年には2400億円近くにまで拡大した。業界の中でも康師傳飲品の販売数量の伸びは突出しており、茶系飲料に続いてミネラルウォーターも首位を獲得。炭酸系を含む全飲料でも、首位のコカ・コーラに迫る勢いだ。

「正直、ここまで短期間に成長するとは予想しなかった。すべての数字が出資時の計画を大きく上回っている。うれしい誤算だ」と語るのは、アサヒビールの北川亮一・国際本部国際部長。実際、同社が提携で得た果実は大きい。アサヒの09年度連結最終利益は476億円。このうち、同社が40%を出資する中国飲料合弁からの持ち分利益額は80億円近く、全社最終利益の16%に相当する。国内の飲料事業は過当競争で利益が出ておらず、今や中国飲料事業は国内ビール事業に次ぐ、アサヒの第2の利益柱だ。 

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