民公連立の「禁断の甘い蜜」

民公連立の「禁断の甘い蜜」

塩田潮

 参院選の争点は、消費税、「政治とカネ」、景気などだが、隠れた投票基準は「民主党政権」の是非だろう。

 有権者は昨夏、自民党から民主党への政権交代を選択したが、実際に誕生したのは民社国3党連立だった。理由は民主党の参議院での過半数未達成である。

 新政権の迷走は鳩山前首相の相次ぐ失態、「小鳩」の「政治とカネ」の問題などが原因だったが、数合わせ優先の3党連立のつまずきも大きく響いた。有権者は参院選でこの10カ月の実験を判断材料に、民主党単独か形を変えた新連立かを選択することができる。

 民主党が60議席を取れば単独政権、57~59議席なら現在の2党連立で可、56議席以下だと新連立か「新ねじれ」だ。その場合の民主党の選択肢は、「新ねじれ」下の部分連合方式、みんなの党との連立、公明党との連立などだが、さらに自民との大連立の可能性もある。といっても、連立論議は選挙にマイナスだから、いまは民主党以外は口にしない。

 だが、各党とも「選挙後」への思惑や計算が働く。そこを占う手がかりはマニフェストだ。

 民主党に一番近いのは、実は公明党である。社会保障、教育、子育て、環境政策、成長達成目標などは大差がない。法人税率引き下げも唱える。外交・安全保障も壁はない。争点の消費税も「消費税を含む税制の抜本改革を実行に移せる環境を整備」とうたう。表向き対決姿勢を取りながら、実際は連立参加を狙っているのでは、と疑う向きもある。

 民公連立ができると、以後の選挙は磐石となり、自民党の息の根を止められるから「最強のカード」、と密かに説く民主党関係者もいる。

 だが、99年以降の10年の自公連立による自民党衰退の歴史を振り返り、数合わせと一枚岩の組織力を当て込んだ公明党との連立は、口にはおいしいが、やがて自壊・自滅を招く「禁断の甘い蜜」と警戒する声も強い。

 菅首相は消費税増税という「苦い薬」を国民に飲ませた後、自身は「甘い蜜」に飛びついて生き延びる道を探るのだろうか。
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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