日本のカジノは高収益が約束されている 地方都市の統合リゾートも十分儲かる

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都心部のIRの収益規模は世界でも別格であり、世界の事業者の序列を塗り替える見通しです。都心部の関東、関西のIRの売上高、利益は、単一施設としては世界最大級となる方向です。

現在はシンガポールのMarina Bay Sands、Resorts World Sentosa、マカオのThe Venetian Macaoが単一施設として世界最大級のものですが、関東IRの収益規模はそれらの約2倍、関西IRはそれらと同等の予想です。

世界の情勢をみると、米国では過当競争の結果、IR、カジノの収益力は縮小しました。大手事業者の米国内の営業利益は大きくても数百億円の中盤と推定されます。競争激化エリアの施設は黒字化も困難です。欧州のIR、カジノは小粒です。また、アジア各国でIR、カジノ開発が進んでいますが、中期的にもマカオ、シンガポールの大規模IRの収益力は突出した存在です。フィリピンは当面は発展途上ですし、ベトナム、韓国、ウラジオストクなどの新しい大規模プロジェクトも外国人旅行者依存型であり、収益性は楽観視できません。

このように、世界のIR、カジノ市場、開発プロジェクトを俯瞰しても、日本の都心部のIRの収益規模は別格です。日本の都心部のIRを獲得した事業者は、長期にわたり、世界トップクラスの地位を確保することになります。日本企業(コンソーシアム)が都心部のIRを主導できれば、一気に世界トップクラスに名を連ねることになります。

日本のIRでは日本人マスが最大の利益源

シンガポール、マカオ、ラスベガスストリップのIRの売上高、利益(キャッシュフロー)の構成比は、それぞれ特徴があります。これらを比べると、日本のIRに対して、2つの重要な示唆を得ることができます。

1つめはゲーミングにおけるマスとVIPの構成比です。まず、VIPの構成比をみると、グロス売上高ではシンガポールが4割、マカオが7割と高水準ですが、利益ではそれぞれ3割、4割に低下します。VIPビジネスは特定の富裕層を事業者間で奪い合う構図であり、顧客獲得コストが大きく、利益率が低いわけです。特に、中国本土の顧客についてはジャンケット事業者の関与が大きくなり、コミッション負担が利益を圧迫します。一方、マスはIRの集客力を生かした、小口顧客を大量に積み上げるビジネスです。高度なIRにおいては、マスが最大の利益源です。マスの利益構成比は、シンガポールでは6割、マカオでは5割であり、今後、さらに高まる方向にあります。日本では巨大な日本人のマス市場がありますし、日本人のVIP市場もあります。経営、収支面において、外国人VIPに依存する必要性はありません。

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