高まる大日本・凸版の存在感、電子書籍で印刷会社にすがるしかない出版社の実態


 「どうして印刷会社が入っているのか」--。
 
 アップル「iPad」発売前日の5月27日に急きょ開かれた共同会見。この場でソニー、KDDI、朝日新聞社、そして凸版印刷の4社は7月1日付で電子書籍配信の企画会社を作り年内には事業を開始する、という構想を発表した。

居並ぶ面々を見ると、読書端末を作るソニー、キャリアとして課金プラットフォームを持つKDDI、新聞や出版物などのコンテンツを持つ朝日新聞社はわかりやすい。それに対し、紙の書籍や雑誌を印刷している凸版が参加している理由は、“素人目”にはわかりにくい。
 
 質疑応答の際にも、出席者から「凸版はこの新会社でいったいどのような役割を果たすのか」という質問があったくらいだ。

が、実は“玄人目”には、凸版印刷がこのプラットフォームの成否を決めるキープレーヤーだ。なぜならば印刷会社こそが、日本で電子書籍配信を行うには最もいいポジションにいるからだ。特に、2強である大日本印刷と凸版はお互いを意識しながら、これまでも電子書籍の配信事業を行ってきた歴史がある。

その中核が、両社が1999~2000年に主要な出版社との提携により開始した「電子書籍取次」だ。大日本傘下の「モバイルブック・ジェーピー」は5月末時点で約5・3万、凸版傘下の「ビットウェイ」は約4万の書籍タイトルを取り扱っており、業界最大手だ。

ビットウェイでの電子書籍取次としてのノウハウを新会社に提供していく--。これが、凸版が企画会社に名を連ねている理由である。

出版と印刷の蜜月を電子時代にも持ち込む

印刷会社が考える電子書籍流通のあり方は「出版社と印刷会社の共同事業」である。両者は紙の出版物中心の「旧大陸」では手を携えて生きてきた関係。このまま仲良くグーグル、アマゾン、アップルなどのプラットフォーム企業が猛威を振るう「新大陸」に乗り出しましょう、というのが印刷会社の提案だ。


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