「妖怪ウォッチ」、爆発的ヒットの極意(上) 仕掛け人が語る舞台裏「すべて本物にする」

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まず考えたのは、現代においてのドラえもんというのは、どんな形を取るべきなのかということ。例えばのび太くんの主人公像は、常にドンケツで、落ちこぼれで、ある意味これ以上ないっていうくらい劣っているじゃないですか。でも今の社会として、そういう落ちこぼれが出にくい仕組みになっている。もしそうした子供がいたとしても、フォローが入るような世の中なので。

――どのようにキャラクター設定をしたのでしょうか?

主人公のケータは小学5年生。普通の少年だからこそ子供たちが感情移入できると考えた。(C)LEVEL5/妖怪ウォッチプロジェクト・テレビ東京

僕が思ったみんなが共感する主人公像は、個性がない子というか、何をやっても普通の子。トップにもなれず、ドンケツでもない。上と下をカットした真ん中の70%ぐらいに入ってるような、そういう「普通」と呼ばれている子たちが、いちばん感情移入できる主人公像なんだろうと思った。そこで、妖怪ウォッチの主人公の「ケータ」は、いわゆる普通の子。普通ということが”欠点”の子という設定にしたんです。

殴らない”ジャイアン”、嫌味じゃない”スネ夫”

主人公だけでなく、すべてのキャラクターに対して現代アレンジをしているんです。例えば、ジャイアンにあたる「クマ」っていうすごいやつがいるんです。クマはガキ大将だけど殴りはしない。いつもは威張っているけど実は気が弱いところがあって、みんなから攻められるとシュンとなるときもある。

あとはスネ夫っぽいポジションにあたる「カンチ」。カンチくんは嫌味なやつではなくて、アキバ系オタクというか、要はメカに詳しくて何でもうんちくを語り、ちょっと得意げに新しいスマホの性能を語ったりする。

それぞれのキャラクターたちをリアルにいそうな感じにして、「あ、こういうクラスメートや、こういったグループあるよね」と今の子供たちが共感できる世界観や設定をつくることが第一だった。

――そのほかには?

小学生の悩みを調べてリスト化したんです。アニメの第2話で扱った「トイレの『大』に行けない」というのは、小学生男子の切実な悩みなんですよ。ほかにも、お母さんが忘れ物を学校に届けに来たらそうとう恥ずかしいとか、ちょっとカッコ悪いとかですね。

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