社員が幸せになれば、業績はついてくる! ザッポスCEOが追求する「幸せの神髄」

✎ 1〜 ✎ 41 ✎ 42 ✎ 43 ✎ 最新
拡大
縮小

今度はラスベガスを変える!

トニー・シェイは、台湾出身の両親の下にアメリカで生まれ育った。すでに大学生の頃には、学生寮でピザ販売を手掛けるほどの商売心を発揮していた。卒業後は、大手IT企業に就職したものの、数カ月しかもたなかった。

その後、友人と一緒に起業したリンクエクスチェンジがマイクロソフトに買収され、そこで手にした大きな資金を元手に、投資家に転身。投資先のザッポスのCEOに就任してからは、同社の急速な成長を支えてきた。

シェイは現在、ザッポスが拠点とするラスベガスのダウンタウンを、新しい町に造り替えるための開発に乗り出している。ラスベガスと言えば、カジノとリゾートホテルしかない町だが、それをテクノロジー関連のスタートアップが集まるイノベーション精神にあふれる場所にしようというのだ。

「シリコンバレーの企業は、アメニティもすごいけれども、そういう内向きでないキャンパスを作りたい」とシェイは説明している。「ライフ&ワークのバランスなんて、ワークが面白くないから取りざたされること。けれども、ここではライフとワークがひとつになって、それがライフになるようにしたい」と言う。

ザッポスは、オンラインストアではなくサービス会社であるととらえるシェイは、いずれ同社がホテル業や航空業に進出してもおかしくないと考えているらしい。
ハッピネスという、古くて、けれども最も複雑な課題に取り組むシェイのチャレンジには、決して終着点がない。

 

瀧口 範子 ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たきぐち のりこ / Noriko Takiguchi

フリーランスの編集者・ジャーナリスト。シリコンバレー在住。テクノロジー、ビジネス、政治、文化、社会一般に関する記事を新聞、雑誌に幅広く寄稿する。著書に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか? 世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』『行動主義:レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家:伊東豊雄・観察記』、訳書に『ソフトウェアの達人たち:認知科学からのアプローチ』(テリー・ウィノグラード編著)、『独裁体制から民主主義へ:権力に対抗するための教科書』(ジーン・シャープ著)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT