もたつくファミマ、快走のセブン スタートから差がついたコンビニ大手3社

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セブン-イレブンでは4月以降、プライベートブランド(PB)商品や弁当、おにぎりなどオリジナル商品のうちおよそ8割を順次リニューアルしてきた。「(売り上げが伸びているのは)セブンプレミアムなどのPB商品の存在も大きい」(松本氏)。

セブンプレミアムの売上高は発売を開始した07年以降、右肩上がりに伸びており、今年度はグループ全体で前年度比約2割増(8000億円)を見込み、15年度には1兆円に達する計画だ。昨年発売し大ヒット商品となった「金の食パン」など、品質の高さにより重点を置いたPB商品「セブンゴールド」にも力を注ぐ。

ローソンは新社長の手腕と買収に注目

業界2位のローソンも今年は1100店と高水準の出店計画を掲げている。第1四半期は直営店の減少により営業総収入は前年同期比で減ったものの、チキンなど採算の良いファストフードが順調に伸びていることもあり、利益、店舗数ともに着実に積み上げた。

こうしたなか、12年間にわたってローソンを率いた新浪剛史氏から、玉塚元一氏へ社長交代が行われたのは今年5月のこと。玉塚新体制の実力が試されるのは第2四半期以降になりそうだ。

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ローソンはイノベーションに注力

かつて大量出店によって多くの不採算店を抱えることになった苦い記憶を持つローソンは、「出店数を1000でいいと決めている」(新浪氏)。一定のシェアを確保するためにある程度の出店規模は保つとみられるものの、「差別化すれば売り上げは落ちない。店数ではなく、イノベーションに力を入れている」(同)。

今月6日には、複合型映画館を運営するユナイテッド・シネマの買収を発表し、エンターテインメント分野の強化を発表。さらに高級スーパー・成城石井の買収にも動いており、独自戦略を貫く姿勢は変わらないだろう。

トップのセブンと、2位以下のローソン、ファミマの間には、店舗数、一日の売上高ともにいまだ大きな差があるのが現状。今後もこの差を縮めるのは容易ではなく、むしろセブン-イレブンの独走が続きそうだ。

(文中、小松崎行彦氏の「崎」は正しくは「大」の部分が「立」です。)

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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