富士通と東芝の携帯電話事業統合は、両社の信用力にプラス《ムーディーズの業界分析》


コーポレートファイナンス・グループ
VP-シニア・クレジット・オフィサー 廣瀬 和貞

富士通(A3、ネガティブ)と東芝(Baa2、ネガティブ)は6月17日、携帯電話事業の統合を発表した。同事業で東芝は赤字を計上しており、富士通も収益性は必ずしも高くないと見られる。今回の統合は、両社の信用力にプラスとみられ、事業シナジーと多額の研究開発費の節減を実現し、多数のメーカーが競合する成熟市場の競争環境の改善につながる可能性がある。

両社は10月1日をメドに事業を統合する予定で、過半を出資する富士通は、統合により国内で成長性のある数少ない端末の1つであるスマートフォンの研究開発を強化することができよう。国内の携帯電話利用者におけるスマートフォン普及率は1ケタ台前半にとどまり、世界平均の23%を大きく下回る。しかし成長率は高く、今年の成長率は40%に達するとも推定されている。

近距離無線通信によるデジタルテレビの視聴や金融取引など、日本の携帯電話技術は世界のどこよりも進んでいるが、国内通信会社の仕様に合わせた特殊な機能は世界的に普及していない。現在、富士通は市場首位のNTTドコモ、東芝は国内2位のKDDIに端末を供給している。統合後の新会社は、少なくとも異なる2社の大手通信会社に端末を供給できるようになる。

この事業統合が完了すれば、日本市場の端末メーカーは、3年前の10社から5社に集約される。すでにカシオ(Baa1、安定的)、日立(A3、ネガティブ)、NEC(Baa2、ネガティブ)が昨年9月に携帯電話事業の統合、京セラ(格付けなし)が08年に三洋電機(Baa1、安定的)の携帯電話事業の買収でそれぞれ合意している。

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