【産業天気図・建設機械】新興国需要で業況感は尻上がりに回復、後半「晴れ」へ

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 この活況にあって前半が「曇り」なのは、日米欧の先進国需要が依然底ばいだからだ。だが、年度後半には米国が市場回復すると期待できるなど、全体市場が「晴れ」に転じる見込み。また、例年3月は中国の旧正月「春節」商戦で売り上げが集中するため、中国市場に予期せぬ屈折が起きない限り年度後半は出荷額が増大する。

ただ、建設機械でも日本の得意な大型のラフテレーンクレーンは、中国市場拡大の恩恵に縁がない。いまの中国は土木工事が中心で油圧ショベルが主役であり、建設現場で使われるクレーンは中国国内製の安価な据え付け型が主流だ。外需といえば欧州が中心で、その欧州市場は壊滅的だ。タダノ<6395>、加藤製作所<6390>などの主要クレーンメーカーは、今期もまだ「小雨」模様の天候状態にある。また、油圧ショベルでも竹内製作所<6432>などが得意とするミニショベルは、主力市場がやはり欧州であるために、今期はまだ力強い回復が望めない。

外需依存が高いだけに、懸念は為替変動。コマツや日立建機などの大手は対ユーロでは期初の前提を1ユーロ125円に置いており、足元の円高が気になる。ただ、ドル円は1ドル90円と、現状の相場水準なら「想定の範囲内」。さらに、ドル連動だった中国元が切り上がることになれば、売り上げの中国比率が大きい大手建機の収益にはプラスとなる。

(山崎 豪敏=東洋経済オンライン)

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