東芝・WHがつかんだ初の東欧「原発ビジネス」
ブルガリアで獲得した巨大案件とは

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東芝グループは中国でも原発を建設している(写真は三門発電所)© 2014 Sanmen Nuclear Power Company Ltd. All rights reserved.

東芝─米ウエスチングハウス(WH)連合が東欧での原子力発電所ビジネスに橋頭堡を築いた──。

8月1日、東芝の子会社WHは、ブルガリア国営電力会社(BEH)から、原発設備を受注することで基本合意した。ブルガリア北西部にあるコズロドイ発電所7号機の1基を受注する見込みだ。納入する原子炉はWH製の「AP1000」で、出力は110万キロワット程度。2023年ごろに稼働させる計画で、受注額は約5000億円とみられている。

ウクライナ情勢で“脱ロシア”を加速

ブルガリアでは1970年代から原発が導入されている。全6基中、4基はすでに閉鎖。今はコズロドイ5、6号機の2基が運転中で、国内の全電力の約35%を賄っている。しかし、この2基も10年代後半に寿命を迎えるために、新たな原子炉の建設が急がれていた。

目下ブルガリアにあるのはすべてロシア製だ。長年ロシア製を使っており、同国も運転などの知見を持ち合わせている。が、結果的にロシアでなく、WHが選ばれた。数社が入札に手を挙げた中、最終的に露ロスアトムとWHが争い、13年12月、WHが優先交渉権を獲得したのである。

ブルガリアの場合、原発だけでなく、火力発電所で使われる天然ガスの89%をロシアに依存する。「ロシアへの極端なエネルギー依存からの脱却」を政府は考え、他国のメーカーが食い込む余地は広がっていた。そこへウクライナ情勢がダメ押しした。

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