国際会計基準戦争【完結編】 磯山友幸著 ~IFRSの光の部分を知る

国際会計基準戦争【完結編】 磯山友幸著 ~IFRSの光の部分を知る

評者 田中 弘 神奈川大学経済学部教授

 国際会計基準(IFRS)を解説した書籍が書店の新刊コーナーを占拠する中で、最近、類書にない読み応えのある本を2冊手にした。1冊は、公認会計士の中島康晴氏の『知らないではすまされない マネジメントのためのIFRS』であり、もう1冊はここで取り上げる磯山友幸氏の本書である。

中島氏はIFRSの本質を「デューデリ会計」「投資価値算定会計」ととらえ、現今の日本の対応が「煽られて慌てて焦りの中で本質を見失ったまま形式だけの対応」で、「これでは、J−SOXの二の舞になってしまう」と危惧している。「IFRSブーム」に感じる違和感を正直に伝えている。

磯山氏は、これとは対極的な姿勢で、現下の世間の常識が形成されるプロセスを丁寧になぞってみせている。タイトルでもわかるように、2002年に刊行した『国際会計基準戦争』の「その後」を描いたものである。

ただし、一歩時代の先を読んでいた前書の啓蒙的な姿勢は影をひそめている。どちらかと言えば「日本で始まったIFRS時代はもはや後戻りすることはない」ことを証明する資料を盛んに採用する。それだけ、IFRSのアドプション(全面適用)に向けて日々対策・対応を練っている諸氏にとっては、安心・得心の一書となるであろう。

しかし、ジャーナリストが書いた本にしては、IFRSの、さらにIASB(国際会計基準審議会)の真実に迫るような記述が少ないのはどういうことであろうか。

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