真似るな危険!13年ぶりの「HERO続編」 知られざる、リバイバルドラマの超巨大リスク

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日本でどんどん続編が制作されない理由

なぜ、30%以上の高視聴率が約束されていながら、日本のテレビ局は続編を翌年放送できないのか? その理由は、本人や所属事務所が同意しないからです。日本とアメリカでは、ドラマに出演する俳優やエージェンシーの戦略が根本的に異なっているのです。

アメリカのテレビドラマにスーパースターが出演することは少なく、トム・クルーズやジョニー・デップがドラマに出ることはありません。基本、俳優はオーディションで役を勝ち取り、ドラマが当たると、それにキャリアと生活のすべてを懸けます。

ヒットすれば出演料はどんどん上がっていき、一財産を築く。現在、ドラマ出演報酬の最高額は「NCIS」の主演、マーク・ハーモン(63)。50代で連続ドラマ初主演という遅咲きの俳優です。彼の出演料は1話当たり5250万円(TV Guide Magazine、2013年8月22日号)。年間24話で12億6000万円です。続編に出続けて、出演料収入だけで効率的に一気に儲けきるという発想です。

うまくいけば、ジョージ・クルーニーのように、テレビドラマから映画スターへという展開も考えられるし、有名になった後にさまざまなビジネスを始めることもできます。

一方、日本のドラマの出演料は、1話当たり高くても、数百万円。米国の場合に比べて少額で、結果的にトップスターの主たる収入源はCMとなっています。CM収入をメインに考えれば、ひとつの役のイメージが濃くついてしまう「続編ドラマ」は避けたいところ。レーサーの役をやれば車のCM、ヘアスタイリストの役をやれば、ファッション系のCMのオファーが来ますから、さまざまな役柄を演じるほうがいいのです。

また、別の視点も。ある事務所の関係者によれば、「CMのこともあるが、一気に露出して飽きられるのを避けるため、続編はなるべく避けたい」とのことでした。日本の事務所は、「若い俳優ができるだけ長く一線で活躍できるように仕事を選ぶ」のだそうで、ひとつの作品で儲けきるアメリカのビジネスモデルとは大きく異なっています。

「3カ月10話」という、超短期戦の弊害

それにしても、もはや高視聴率は望めないのに、10年以上も経ってから、続編を制作するのはなぜでしょうか?

ひとつめは、やっぱり制作側の感覚が“ズレて”いるから。

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