「フェアレディZ」がレトロモダンになった理由 デザイン部門トップの記憶と「GT-R」の存在

✎ 1〜 ✎ 39 ✎ 40 ✎ 41 ✎ 最新
拡大
縮小
初代「S30Z」と並ぶ新型「フェアレディZ」(写真:日産自動車)
この記事の画像を見る(78枚)

日本では「フェアレディZ」として今冬発表予定という、日産自動車の新型「Z」がニューヨークで初公開された。アメリカでは、2022年春に発売される予定だ。

コロナ禍ということもあってオンラインでのお披露目になったが、筆者はプロトタイプを昨年9月に横浜で行われたメディア向け内覧会で目にしているので、そのときの体験を含めてデザインを解いていきたい。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

ちなみに昨年の内覧会では、グローバルデザイン担当専務執行役員のアルフォンソ・アルバイサ氏、新型Zを担当したエグゼクティブ・デザイン・ダイレクター田井悟氏の話を聞くこともできた。

日産デザインを率いる立場でもあるアルバイサ氏は当日、「これはコンセプトカーでもなければスタディモデルでもなく、新型Zの登場を宣言するもの」と語っていたが、まったくそのとおりで、今回発表された新型Zはプロトタイプとほとんど同じだ。

6歳のときマイアミで見た「S30型」のインパクト

デザインに際して同氏は、「これまでの歴史に深いオマージュを捧げるか」「未来志向を貫くか」の2つの方向性を検討。

デザイナーたちと歴代モデルが高い人気を誇った理由を調べながらスケッチを重ねていった結果、レトロモダンなテーマとフューチャリズムを組み合わせることに決定したのだという。

日産は日本以外にアメリカ、イギリス、中国など世界各地にデザインスタジオを持つが、Zプロトタイプについては日本のデザインチームが描いたそうだ。

アルバイサ氏は6歳のとき、生まれ育ったマイアミで初めて初代Zである「S30型」を見て強い印象を受け、それからずっとZを追いかけてきたという。そして今回のデザインについては、とりわけそのS30型と4代目「Z32型」を意識したと語っている。

1989年に登場した4代目「Z32型」(写真:日産自動車)

実は、Z32型はアルバイサ氏と田井氏の2人が同時にデザインに携わったZでもある。

そのアルバイサ氏から「Zらしくしてくれ」と言われたという田井氏は、長いエンジンフードを高めに描き、垂直にカットしたリアエンドはそれより低いというS30型のシルエットを継承することにこだわった。

次ページ非ウェッジシェイプこそ、Zの伝統
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT