三菱の牙城にライバルが続々参入、進化するボールペン「書き味」競争

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ボールペンの書き味はどこまで進化するか。文房具準大手のゼブラは5月24日、書き味の滑らかさにこだわったボールペン「スラリ」を発売した。

特徴は油性と水性の一種であるジェルを組み合わせたエマルジョンインク。ボールペンは、書き心地のよさを求めて、油性から水性、水性質のジェルへと移り、開発競争には一服感があった。

ただ、油性は滑らかな半面、インクがたまりやすいのが弱点。水性はサラサラと書けるが伝票などの紙質は苦手だ。「両者の長所を引き出すため、混ぜるという発想が生まれた」(研究部の田中暁紀氏)。

本来、油分と水分は混ざらないが、それを安定して混ざった状態にする「乳化」技術を活用。溶剤や色材の種類や配合を変え、試作は1000種類に及んだ。開発自体は2005年に成功したが、「書き味だけで売れるのか」と当時の社内会議でボツに。が、その翌年に三菱鉛筆が発売した滑らかに書けるボールペン「ジェットストリーム」(150円)が爆発的にヒット。ゼブラはその後、2年かけて蛍光6色を開発し、競合より安い100円という価格設定で挽回を目指す。

今年2月にはぺんてるが「ビクーニャ」、パイロットコーポレーションが一昨年に「アクロボール」を投入している。「書き味」競争は激化する一方だ。

(吉川明日香 =週刊東洋経済2010年6月26日号)

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