【産業天気図・外食】外食支出は依然厳しく、低価格戦略で業績低調。景況感は「曇り」続く

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 景況悪化に最も敏感な居酒屋は低価格業態にシフトし、客足獲得に必死だ。「東方見聞録」「月の雫」の三光マーケティングフーズ<2762>は、「全品270円居酒屋 金の蔵Jr.」への転換を昨年後半から急ピッチで実施し、今や全約150店のうち低価格業態が過半を占める。

「甘太郎」のコロワイド<7616>も月10店前後のペースで一皿299円均一の「うまいもん酒場 えこひいき」への業態転換を進めている。大衆割烹「庄や」「やるき茶屋」「日本海庄や」の3業態が主力の大庄<9979>も「ジョン万次郎2世」等への低価格業態へ、転換を積極的に進めている。

ただ、低価格には飽きられやすいという面もある。日本マクドナルドホールディングス<2702>は、4月末から都内「マクドナルド」12店舗で内外装を黒を基調とした新型店舗の展開を始めた。新型店舗では、約3分の2の商品を10~50円値上げしている。同社の原田永幸社長は「消費者は安いものは徹底的に安いものを求める一方、同時に心を豊かにする新しいものも求めている」と話す。

この新型店舗では、店舗の内外装だけではなく店員のユニフォームやイス、テーブル、壁面、トイレなど店舗空間のありとあらゆるもののデザインを一新した。商品価格は通常店舗よりも割高でも、その場の雰囲気を味わうことで、ビジネスマンなど新しい顧客を取り込もうという狙いがそこにはある。マクドナルドの戦略が成功すれば、価格力だけではなく商品力や店舗空間、サービスに力を入れる同業他社が増える可能性がある。

(二階堂 遼馬=東洋経済オンライン)

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