トヨタ復活!? 製販・財務・人事・リコール・ライバル……全方位検証!

拡大
縮小


 減産ショックももはや過去の遺物だ。生産台数は国内外ではっきりと増加基調に転じた。輸出も急回復し、積み出し港に活気が戻っている。

トヨタ震撼! カムリが首位転落

再び順風に乗るかに見えるトヨタだが、不安を一掃したわけではない。実は、今回のリコール問題よりずっと以前から、トヨタの無償修理など品質関連コストは右肩上がりで増え続けてきた。

アライアンス・バーンスタイン株式調査部長の中西孝樹氏は「製品保証引当金の当期繰入額を見れば一目瞭然だ。トヨタの繰入額は正常値といわれる、売り上げ対比1%を大幅に超える水準で推移してきた」としたうえで、「09年度は多額なリコール一時費用も加わり、製品品質関連コストは同対比3%水準に達しているのではないかと推察される」と指摘する。

車を1台売って入るおカネの3%が飛んでいく計算だ。

原因の多くは設計品質にあると専門家から指摘されており、根本的なカイゼンには一定の時間がかかる。トヨタはそれまでインセンティブ(販売奨励金)を駆使しながら販売台数を維持するつもりだが、リコール問題の震源地・米国では明らかな変調も起きている。つねに販売台数トップを維持してきた王者カムリが、今年1~5カ月累計でホンダ・アコードに追い抜かれたのだ。フォードのフュージョンやGM・マリブにも追い上げられている。

「セダンはトヨタはじめ日系の独占領域だったが、今後は競争が激化する。11年にもモデルチェンジするとみられるカムリの競争力が一つの焦点になる」(西本真敏IHSオートモーティブシニア・マネジャー)。


関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT