ヤフー、爆速経営支える「真剣お見合い」 2週に1度の社内イベントで理想のパートナー探し

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ヤフーのサービスとうまく連携する事例も出てきた。YJキャピタルはかねて葬儀領域で鎌倉新書とアーバンフューネスコーポレーションに出資していたが、7月中旬に始めた終活サービス「ヤフーエンディング」で鎌倉新書の葬儀手配サービスと連携を始めた。

これまでYJキャピタルの投資事業は小澤氏が先導してきた。が、同氏が昨年からヤフーのショッピングカンパニー長となりネット通販事業などを率いることになったため、YJキャピタルはヤフーベンチャーピッチをきっかけに、小澤氏主体にメンバーおのおのが活躍する組織へ変わろうとしている。

ヤフーベンチャーピッチは6月下旬にスタートして約2週間おきと頻繁に開催しており、7月末までに3回開催。毎回異なるテーマを設定し、堀氏が厳選したベンチャー3社が参加している。

 各事業部門と一気に「お見合い」可能に

6月下旬に行われた第1回のテーマは「メディア」。不動産関連ネットサービスを手掛けるイタンジ、位置情報連動検索エンジンのtritrue(トライトゥルー)、「笑うメディア CuRAZY」を運営するLAUGH TECH(ラフ・テック)がプレゼンした。第2回は「動画」。ビデオメッセージングアプリ「unda」のPocket Supernova、スマートフォン向け動画広告のアップベイダー、動画画像処理技術を手掛けるイッキョウテクノロジーが登壇し、このときは60人が集まり立ち見が出るほどの盛況となった。

そして3回目は「マーケットプレイス」をテーマに、個人向け動画共有サイトのネクフル、空きスペースの貸し借りサービスのスペースマーケット、写真販売サイトのピクスタが参加し、ヤフーからは「ヤフオク!」などの担当者が参集した。

ヤフーベンチャーピッチのイベントを主導するYJキャピタルの堀新一郎パートナー。M&A事業部門の経験が生きている

ヤフーベンチャーピッチを開く最大の利点は、さまざまな部門が一度に集まって提携の可能性を検討できることだ。「これまでベンチャー企業との提携の検討は、各事業部が個々に行っており、そこで提携の可能性がないとなると商談が終わってしまっていた。一方このイベントでは、各事業部の人を集めて部門横断的にベンチャーとの出会いの場を提供しているので、意外な提携のチャンスが見つかりやすい。たとえばある登壇企業は、メディア部門、アプリ部門、広告部門と、事業部をまたいで提携に向けた交渉が進んでいる」(堀氏)

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