8月の日経平均は寒くなる? 11日はいったん反発だが、本格反転は9月以降か

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GPIFはどんな銘柄でも購入するわけではない。一方で、企業が持ち合い株式を放出するとの観測報道を目にする。もし、持ち合い株の売却と、企業を選別して投資するGPIFの買いが同時に起これば、実際は、株価が上がる企業と下がる企業の格差が拡大する、といった現象がかなり進むものと考えるべきだ。

日本株に悪影響を与えた主な要因は海外株の下落や円高だったが、その理由については「地政学的リスク」を唱える向きが多い。しかし、ウクライナ・ロシア、イラク、イスラエル情勢などは、降って湧いた新しい話ではなく、市場にとって新味は薄い。加えて8日の米国市場では、イラク空爆の当事者である米国の株価は反発して引け、それに伴い円相場もやや円安方向へと持ち直しており、地政学的リスクが海外市場波乱の最大の要因とは考えにくい。

とすると、最近の米国の株価下落を引き起こした本当の要因は何だろうか。米株価変調のきっかけは、7月30日(水)に発表された4~6月の米国の実質GDPが、前期比年率で4.0%増と高い数値となり、長期金利が上振れしたことだった。

株価下落で、いったん米国の長期金利は上昇の矛を収めてはいる。しかし、もし今後長期金利の本格上昇となれば、株式市場だけではなく、社債市場など、広範な証券・金融市場に影響が出かねない。このため、市場が金利上昇の可能性に神経質になっているのだろう。

4〜6月のGDP統計に市場はどう反応するか

さて、今週の国内株式相場だが、最も注目されるのは、13日(水)発表の日本の4~6月期GDP統計だ。

すでに発表されている6月の小売関連データは、ゲリラ豪雨や低温による夏物商戦の不振から、総じて低迷を見せた。これをみて、エコノミストは一斉にGDPの予想値の下方修正に走り、前期比年率ベースの実質経済成長率はエコノミストの平均で7.1~7.2%減が見込まれている。これは東日本大震災時(2011年1~3月期)の6.9%減並みに悪い数値である。

「GDPの数値がかなり悪いものになりそうだ」、と報じられているため、市場はある程度織り込んではいるだろう。だが、株価に元気をもたらすような材料とは言い難い。

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