(このひとに5つの質問)鈴木正一郎 日本製紙連合会会長

(このひとに5つの質問)鈴木正一郎 日本製紙連合会会長

環境保全の10億円は消費者への精神的代償

日本製紙連合会の加盟38社のうち17社で発覚した古紙配合偽装。連合会と大手5社は、お詫びとして環境保全に対する資金拠出を発表。再発防止の取り組みを会見で語った。
(週刊東洋経済2月16日号より)

 古紙配合の乖離発覚を受け、環境保全のために10億円拠出を公表した。どのような意味を込めているのか。

 10億円という額は、今回の事件によってもたらされた消費者の方々への「精神的代償」として考えた。これは積み上げて計算できるものではないので、特別な根拠はない。循環型社会に資することが根底にあるが、その熱意を金額で表したわけではない。

 今回の取り組みで名を連ねた企業は、古紙配合の乖離を公表したメーカー17社のうち、王子、日本、大王、三菱、北越の5社と製紙連合会。見切り発車となった。

 全社をまとめる時間がなかったので、有志5社でスタートした。他社にはこれから声をかけていく。数年にわたって総額10億円を拠出するが、(各社の)分担割合は今後検討していく。ベースに各社での社会貢献活動があり、次いで共通の取り組みとして今回の資金拠出がある。

 使途についてはこれから検討していく。森林保護のための間伐や間伐材の利用にも資金が必要になるし、古紙リサイクルでは、収集・分別から処理技術の開発といった研究分野への拠出など、さまざまなテーマが考えられる。各社に共通して必要な部分に使っていきたい。

 環境省では、環境配慮事業への資金拠出を公表した企業について、今年度に限って古紙配合の乖離を容認する見解を示している。今回の資金拠出との関係は。

 製紙連合会の役割は、コンプライアンスを含めて加盟各社のサポートをしていくことなので、環境配慮事業への対応も含んでいる。現在、事件によって市場が混乱しており、少しでもこれを緩和していければと考えた。

 再発防止と信頼回復の具体的な方策は。再生紙から古紙配合率を検出することは非常に難しいとされる。

 (公称の)古紙配合率をどのように担保していくかは、非常に重要な問題。確かに再生紙の評価は難しいが、できると思う。学者など外部有識者と業界関係者からなる古紙配合率問題検討委員会を設立して検討を始めた。生産工程でのチェックリストも作成している。

 化石燃料と紙質改良剤などの薬品使用量の観点から、古紙100%の再生紙製造が最良ではないとの見方もある。環境負荷軽減に何がベストかを明確にすべきでは。

 答えを一つに収斂することは難しいが、古紙利用は循環型社会の中で重要な役割を担っている。単純に二酸化炭素の排出量だけを考えるのではなく、植林を含めた全体の中で古紙使用量を考える必要がある。これについても委員会で検討していく。
(週刊東洋経済:小長洋子 撮影:尾形文繁)

すずき・しょういちろう
1938年生まれ。1961年東京工業大学機械学科卒、同年に王子製紙入社、2001年王子製紙社長、06年会長就任 同年に日本製紙連合会会長。

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