2030年には50代の3人に1人が一人暮らし--『単身急増社会の衝撃』を書いた藤森克彦氏(みずほ情報総研主席研究員)に聞く

拡大
縮小


--単身急増のマイナスの影響とは。

大まかに言って三つの問題がある。貧困、介護、もう一つは社会的に孤立しやすいことだ。

単身世帯は所得格差が大きく、一律にはとらえられないものの、貧困世帯の数は確実に増えている。高齢期の貧困といっても、死別か離別か未婚かによってあり方が違う。男性の場合は未婚の単身者の貧困の割合が高い。それに対して、女性の場合は離婚した単身者に低所得者が多い。

年齢階層別では、50代の男性の貧困率が結構高い。ここで貧困とは年収150万円未満の低所得者をいうが、単身男性では50代、単身女性では40代の1割強の人が、低所得となっている。これが60代の単身男性と50代以上の単身女性となると、低所得者の比率は2割台にのぼる。

--介護については。

要介護者がいる世帯について、誰が介護しているかを調べると、単身者の場合は圧倒的に事業者となる。5割という統計もある。単身以外の世帯は9割が家族介護であるのに対して、顕著な違いだ。

単身世帯は事業者に、掃除、食事の準備、買い物といった生活支援を頼むことが多く、身体介護の部分はそうでもない。現在の介護保険の生活支援は1日90分と制限を設けている。単身世帯が増える中で生活支援が今のままでいいのか、見直していく必要がある。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT