《プロに聞く!人事労務Q&A》機構改革に伴ってパートを解雇する際の注意点は?

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契約の更新回数、雇用の通算期間、雇用契約の内容(業務が臨時的なものか常態的なものか等)等を総合的に判断して、労働者が継続雇用の期待を有することが認められる場合は、雇い止めについて客観的に合理的理由の存在が必要となります(解雇に関する解雇権濫用法理が類推適用されるため)。

【3】契約締結時および契約更新時の注意点
有期契約労働者と労働契約を締結する際は、契約の更新の有無を明示しなければなりません。契約を更新する場合がある旨を明示したときは、契約を更新する場合、更新しない場合の判断基準を書面で明示します。

また、労働者から、契約が更新されなかったこと等の理由について証明書を求められたときは、遅滞なく証明書を交付する必要があります。

【4】その他
ご相談の会社がどういう事情で機構改革を行うことになったのか不明ですが、今回辞めてもらうパートタイマーの雇用契約期間が反復更新されている等の事実があれば、解雇に関する法的ルールが適用されますので、注意が必要です。

2カ月前に予告をするとのことですので、解雇予告手当は不要ですが、解雇の理由(客観的で合理的理由)を示す必要があります。

また、経営難に伴う機構改革による整理解雇であれば、整理解雇4要件(<1>人員削減の必要性、<2>人員削減の手段として整理解雇を選択する必要性、<3>被解雇者選定の合理性、<4>労働者側に対する説明・協議)を総合的に考慮して判断していく必要があります。

ただし、整理解雇に伴い、正社員より先に臨時社員や契約社員等の雇い止め(解雇含む)が行われてもやむをえませんが、人員整理に先立ち、管理職手当のカットや一時帰休等会社側の解雇回避努力、パートタイマー等に対する説明責任も必要となります。

鈴木ひろみ(すずき・ひろみ)
東京都社会保険労務士会所属。法政大学法学部法律学科卒業。東映CM入社。TV-CMの製作進行、プロダクションマネージャーとしてTV-CMの企画・製作を担当。その後、ファッション雑誌編集者を経て、1995年に鈴木社会保険労務士事務所を開設。著書に「どうなるの?わたしたちの労働環境」、「得する年金損する年金 図解新年金制度」など。


(東洋経済HRオンライン編集部)

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