菅首相は「幸運な巡り合わせ」を生かせるか

菅首相は「幸運な巡り合わせ」を生かせるか

塩田潮

 4年前の2006年6月以後、首相は小泉氏から現在の菅氏で実に6人目だ。安倍氏から鳩山氏までの4人は、政治・経済情勢に違いはあったものの、首相として適格性を欠いていたため、早期退陣となった。だが、もう一つ、衆参の選挙時期も影響している。

 安倍首相は就任10カ月後に参院選があり、敗退して辞任した。衆議院議員の任期満了まで2年という時期に登場した福田首相は「総選挙が戦えない」という与党内の声に負けて1年で退陣した。次の麻生首相は総選挙になだれ込み、大敗した。

 鳩山首相も「参院選が戦えない」という与党内の反発がとどめの一発となった。衆議院は任期4年で、解散があり、参議院は3年ごとに選挙がくる。今年の参院選を含め、衆参の選挙は過去10年で8回に上る。2年以上、間が開いたのは、01年の参院選から03年の総選挙までと、07年の参院選から09年の総選挙までの2回だけだ。前者の場合は小泉首相が両方を乗り切った。

 首相が次々と交代し、不安定政権が続くのは二院制の弊害、という主張もある。一理あるが、国民には政権と首相を繰り返しチェックできるという利点がある。政権の短期崩壊は二院制の壁を越えられない弱体首相と欠陥政権が原因である。

 二院制論議に結びつける前に、政党の側は有権者や世論の判定に耐え得る指導者と政権を生み出す努力が必要だ。

 菅首相はどうか。7月の参院選と9月の党代表選を乗り切れば、衆議院議員の任期満了と次の次の参院選は13年だから、約3年、衆参両方の選挙がない。その期間に首相を務めるという幸運な巡り合わせだ。

 とはいえ、前途は険しい。7月と9月の試練を克服したとしても、12年にもう一度、代表選がある。その前に「8カ月の壁」が待ち受ける。非自民党政権の首相は細川氏、鳩山氏とも就任8カ月で辞任となった。菅首相の8カ月目は来年2月だ。「予算編成の危機」で立ち往生という展開になるかもしれない。

 「幸運」を生かすには、その場しのぎでなく、3年を展望した達成プログラムと長期戦略が不可欠である。
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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