40代で花開く、新しいキャリアがある! イケア泉川さんの”奇想天外”なキャリアに学ぶ

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「一般的な会社だと、転職してくる中途採用者に求められるのは、その人は何ができるのか、どんな経験があるといった、会社の即戦力となる『スキル』ですよね? でもイケアは、即戦力は求めず、その人はどういう人なのか? どんな強みがあるのか? そして、これからどんな可能性があるのか? といった、その人の価値観がどれだけイケアの価値観にフィットするかで人を判断するのです。私の場合も、私の価値観とイケアの価値観が、ぴったり合ったんですね」

泉川さんが特に気に入ったのが、「シンプリシティ」という考え方だ。

「完璧主義に陥らず、無駄なことはやらなくていいという価値観です。先に言ったように、当時、勤めていた会社では、稟議を回す際、何人もの管理者の決済が必要といった具合に完璧を求めていました。でも、その考え方を聞いて、フッと、そのとおりだよな、そこまでやる必要はないよなと、共感してしまったのです」

さらに泉川さんが、引き付けられた価値観のひとつが「人と同じである必要はない」という考え方だ。

「一般的に日本人は間違い探しが好きで、人材評価も減点評価に偏りがちです。でも、イケアは、マイナスポイントでさえもその人の個性として受け止める、加点評価が基本。私は、イギリス系、アメリカ系、日系といろいろな組織で働きましたが、そんな会社はないなと驚きましたね」

もっとも、社員全員が同じ価値観を共有することで団結力を高めようとする「バリュー経営」を敷く会社は、イケア以外にも数多くある。だが、その価値観が社員の間で浸透しきっていない組織が多いのが現実だ。

ところが、「イケアの人は、言っていることとやっていることが一致していた」ことが、泉川さんの心を動かした。

「会社が『カスタマーファースト』だとか、“いい言葉”を羅列することは簡単なのです。でも、問題は、本当に従業員がお客様と真摯に向き合いたいという思いを持っているか。イケアの人たちは、それができていたから、この会社は信用できると感じたのです」

泉川さんは、どんなにビジョンや人事制度がすばらしい会社でも、「それを運用するのは人間」。だからこそ、人間で会社を判断することが重要だと強調する。

「誰かが会社を辞めるときの理由は、必ずしも『仕事』そのものへの不満ではありませんよね? 誰だって、最初はその会社のその仕事にあこがれて入ったはずです。それでも、辞めるのは、最終的には自分の上司が嫌だからなんですよね」

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