売れ筋アイスに「誕生40年超」のベテランが多い訳 ブランドへの安心感と絶えざる進化で人気を蓄積

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業界で「ノベルティ」と呼ぶ1個売りと、「マルチパック」と呼ぶ箱売りでは価格が違うが、多くのブランドが1個売りでは100円台で買える。スーパーや激安店では集客の目玉商品として、さらに安くなることも多い。

また「利便性」では、どこでも買える安心感に加えて、コロナ禍もある。在宅勤務や外出自粛で、近所の小売店への“気晴らし外出”に伴う購入も見逃せないだろう。

一口アイスの先駆者「ピノ」は、今でも人気

「ピノ」(森永乳業)が発売されたのは1976(昭和51)年。バニラアイスをチョコでコーティングした定番の味で、一口アイスの先駆者といえる存在だ。味の多様化も積極的に行う。

同ブランドも何度か取材してきた。当時のブランド担当だった木下孝史さん(現在はヨーグルト・デザート事業マーケティング部長)は、発売時の秘話をこう説明した。

「発売当時は、まだカップアイスが主流の時代でした。そんな中で当時の開発者がアメリカへ視察に訪れると、一口タイプのアイスが存在した。そこで新しいアイスの食べ方として小さな一口アイスを開発。新たな製造設備も導入して発売したのです」

レギュラーサイズは当時も今も、1粒10ミリリットルのアイスが1箱に6粒入り(現在の希望小売価格は140円+税)。粒の大きさは最もみんなの口に合うサイズ、6粒は不足感もないが、「もう少し食べたいな、と思う数に設定してある」とか。

ブランドのターニングポイントは1992年。1箱24粒入りのマルチパック(現在の商品名は「ピノ チョコアソート」)の発売だった。

今年で発売45年を迎えた「ピノ」の発売時(左下)と現在の商品パッケージ(左上)、マルチパックの「チョコアソート」(右)も人気だ(写真:森永乳業)

その後も多彩なフレーバーを発売し、味を高めてきた。最近の状況を同社はこう説明する。

「昨年のコロナ禍初期の購買行動では、学校や仕事帰りにコンビニ等でスイーツを買う学生から30代の層が減少し、主婦層が家族向けにする買い物が増えました。その結果、認知度、安心感、親しみやすさがあるロングセラーブランドが伸長しました。

その中でピノは、コラボパッケージや期間限定品が支持されて伸びています」 (広報IR部 広報グループ・佐藤恵梨華さん)

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