Uberが東京全域へエリア拡大、その次は? ハイヤー配車に加え、タクシー配車にも進出

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社会のためになるような仕事をしたい・・・。その結果が、なぜウーバーなのだろうか。

「サンフランシスコではウーバーの1ユーザーとして頻繁に使っていた。なんでもカード決済できる、あらゆるビデオがネット経由で視聴できる、など米国で当たり前ことが日本では普及していない。ウーバーを普及させることは、日本の社会のためになると考えた」

「ウーバーは効率的なタクシーの運用に寄与するので、二酸化炭素の排出量を減らすことにつながる。ウーバーはクルマだけのサービスではない。すでに米国の一部都市では、自転車で小さな荷物をデリバリーするサービスをやっている。スマホだけで決済をできてしまうウーバーのテクノロジーを生かした新しいサービスをいろいろとやっていきたい」

東京以外へのエリア拡大も検討

今回、サービスエリアは広くなったものの、それでも東京都内(の乗車)に限られる。東京であれば、日本交通をはじめ、大手タクシー会社はスマホアプリを運用しているため、すでにスマホで迎車サービスを使っている人にとっては、あまり便利さを感じないかもしれない。

むしろ埼玉、千葉などの郊外や地方都市に出張した際に、ウーバーで簡単にタクシーを呼ぶことができれば、かなり便利だろう。高橋社長は「軌道にのれば次のステップとして当然、東京以外の地域への展開を考えていきたい」と語る。

軌道にのる、の基準について高橋社長は「ウィン・ウィン・ウィンになること」と言う。利用したお客さんが喜び、参加しているタクシー会社やドライバーが喜び、そしてウーバーにも適切な手数料収入が入れば、継続可能なビジネスモデルとして定着する、という読みだ。

現在、ウーバーには社員が数人しかいない。そこでタクシー・ハイヤー会社との連携を担当するオペレーションマネージャー、マーケティング戦略を進める人材を募集しているところ。業容拡大に合わせて、現在、渋谷駅のそばで借りているシェアオフィスからの本社移転も準備している。今回のサービスから、ようやく日本でのビジネスが本格化するようだ。

(撮影:尾形文繁)

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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