北朝鮮では「カカオトーク」はスパイの道具? 当局が情報拡散を恐れ、ユーザーを次々と摘発

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北朝鮮には、すでに全国で250万台超、国民の10人に1人以上の携帯電話ユーザーがいるが、盗聴など通話内容の監視が行われており、住民もこれを意識している、といわれる。中国側からの携帯電話による通話を妨害するため、当局が妨害電波も流している、という指摘もある。

メッセ―ジのやり取りは可能だが、写真・通話は困難?

電波が弱く、中国と国境を接する平安北道・新義州市の住民と連絡を取り合っているという、韓国在住の脱北者によれば、「もともと電波が弱いため、写真を受け取ったり、通話をすることは難しい」と打ち明ける。メッセージは十分可能だが、このメッセージまで当局が監視しているのかはわからないし、妨害電波がメッセージまで妨害できるのかもわからないと付け加える。

RFAの報道では限界があり、実際、北朝鮮で、どんな人々を対象に、どれほどの規模で取り締まりが行われているのかは不透明。

だが、情報関連技術の進歩と普及はどこの国でも防ぐことができないのが改めてわかる。北朝鮮には、国内で自主制作をしているというスマホ「アリラン」「平壌タッチ」なども普及中だが、今後もこうしたアプリの取り締まりが続きそうだ。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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