菅首相、「金メダルラッシュ」でも回復せぬ支持率 感染者は過去最多に、宣言延長で五輪に疑問符

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自民党内にも「菅首相の一連の言動が、国民の不安、不信をあおる原因となっている」(閣僚経験者)と指摘する向きが少なくない。

五輪での金メダルラッシュにもかかわらず、開幕後に実施された有力紙の世論調査で内閣支持率は最低記録を更新。官邸サイドも「今週末に実施されるとみられる世論調査でも、支持率アップは期待できない」と不安を隠さない。

支持率下落について、菅首相は26日発売の保守系月刊誌でのインタビューで、「今はただやるべきことをやるだけだ。自分がやっていることは間違っていないという自負がある」と語るなど、五輪開催も含めて今後の政権運営になお自信をにじませた。

7割近くが菅首相の早期退陣を待望

同インタビューでは、菅首相の命運が懸かる次期衆院選の勝敗ラインについて、「(自分が)言うと大変なことになる。選挙は何が起きるか分からない」とかわす一方、「議席数に関しては、私は欲張りですから、とだけ申しておく」と自民勝利への強い意欲と自信を示した。

菅首相の自信を裏打ちしているのは、内閣支持率が低下しても自民党内でポスト菅の有力候補が不在で「菅首相を交代させる必然性がない」(細田派幹部)ことだ。さらに、野党第1党の立憲民主党の支持率も1桁台に低迷したままで、「国民も政権交代までは求めていない」との見方が大勢だ。

しかし、7月の時事通信の世論調査では、菅首相の在任期間について「今年9月末の総裁任期まで」が49.4%で、「早く辞めてほしい」の17.3%と合わせると7割近くが早期退陣を待望。「3年間の次の総裁任期満了まで」は18.0%にとどまった。

また、五輪開幕後初となった日経新聞の調査では、内閣支持率が大幅に下落。同調査としての過去最低の34%を記録した。菅内閣を支持しない理由では「指導力がない」が53%と断然多かった。

同調査では、東京の緊急事態宣言についても「効果が弱い」が70%、ワクチン接種も「順調でない」が65%と圧倒的多数だ。併せて、政府のコロナ対策について58%が「評価しない」と回答した。

菅首相はここにきて、秋までに実施される衆院選の時期については、「一日も早くコロナを収束させて経済活動を再開させ、かつての安全・安心を取り戻す、その状況にまでこの勢いでもっていきたい。その中で、おのずと解散の時期も決まってくるのだろう」と述べるにとどめている。感染収束の目途が立たないことが慎重な姿勢につながっている。

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