ジャパネット、社長は「できるんじゃないの?」 高田社長の名調子が聞けるのは来年まで

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10年前の入社以来、旭人副社長はエクセルのシート上に仕事のアイデアを打ち込んできたという。「今はものすごいボリュームになっている。定期的にアイデアをグルーピングして、副社長の立場でできることはやってきた」。3日前の役員会では、経営戦略を自らプレゼンテーションしたばかり。商品のアフターケアを具体的にどうやって自前主義でやるのかという内容で、「評論家にならず、実際に自分の足で関連会社を訪ね歩いて青写真を描いていた」と高田社長は評価する。

実は1年以上前から、組織や人事制度など仕事の8~9割は旭人副社長が担当している。経営に影響力の大きいテレビショッピングについても、2012年8月に開設した東京オフィスのテレビスタジオを旭人副社長に任せることで、社長不在で仕事が回せるように経験を積んできた。

高田社長は1年以上前から業務の8~9割をテレビショッピングに絞っている。現場に立つ時間を増やしたことで、「3年前より仕事量は2倍に増えた」(高田社長)。番組で商品を紹介する司会者には「社長の横に立っている人と思われないために、自分の名前を紹介しろ」と言い続けている。経営のみならず、司会者の後任を育成して引き継ぐことも重要だからだ。

「私が会社に戻ってくることは100%ありません。任せることはきついと思うけど、宣言した以上は受けて立ってほしい」と高田社長は言い切る。創業者で看板タレントという二足のワラジを履く希有な経営者は、無事に次世代へバトンを渡すことができるのだろうか。 

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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